被害2万棟、その半分がまだ未判定。熊本地震の2週間【情報通信vol.837】

【配信日2026年8月10日】

━木耐協情報通信vol.837━━━━━━━

  • 【注目】令和8年熊本地震 住家被害の報告は20,662棟
    うち11,100棟は「分類未確定」。判定はこれからです
  • 【注目】現地調査から見えた「2つの揺れ」と、倒れた家の共通点
    愛媛大学・森伸一郎客員教授「耐震診断をしてもらうことが重要」

台風15号が11日にかけて東北南部から関東に接近・上陸するおそれがあります。
帰省の移動と重なりますので、該当地域の皆様はご注意ください。

熊本地震の発生から、今日で2週間です。
被害の数字が出そろい始め、現地調査の所見も報じられるようになりました。

本日は、熊本県の災害対策本部会議を中心に現在の被害状況についてお届けします。

【1】被害は、まだ数え終わっていない

熊本県 令和8年熊本地震による人的被害等の状況(8月9日14時時点)
https://www.pref.kumamoto.jp/soshiki/222/274487.html

熊本県が公表している住家被害の内訳です。

  • ・全壊:699棟
  • ・大規模半壊:20棟
  • ・半壊:1,025棟
  • ・一部破損:7,818棟
  • ・分類未確定:11,100棟
  • ・合計:20,662棟

目を引くのは、分類未確定の11,100棟です。
報告された被害の半分以上が、まだ判定に至っていません。

いま各市町村では、罹災証明書の申請受付と
住家被害認定調査が同時に進んでいます。
被害の全体像が固まるのは、まだ先ということです。

避難所は103か所・6,183人、断水も34,770戸で続いています。

なお8月7日、政府は本地震を
「激甚災害」(地域を限定しない本激)および
「特定非常災害」に指定する政令を閣議決定・公布しました。

※住家被害数は推計値を含み、今後修正される可能性があります

【2】木造を壊した「2つの揺れ」

熊本 現地調査で判明『キラーパルス』で建物倒壊増か
『長周期パルス』も同時発生?(テレビ朝日/2026年8月4日)

https://news.tv-asahi.co.jp/news_society/articles/900196413.html

現地調査を行った愛媛大学客員教授・森伸一郎氏の分析です。

■ 1つめ:キラーパルス(周期1〜2秒)

地震の揺れには「周期」があります。
地面の揺れが1往復するのにかかる時間のことです。

このうち周期1〜2秒の波は、低い木造建物と共振して
揺れを増幅させ、倒壊に至らせます。
そのため「キラーパルス」と呼ばれています。

阪神・淡路大震災の揺れを再現した実験では、
木造建物が約9秒で倒壊したとされています。
能登半島地震でもキラーパルスが発生し、
住宅被害は16万棟以上にのぼりました。

森氏は、今回の熊本地震でも
このキラーパルスによって被害が増えたのではないかと指摘しています。

■ 2つめ:長周期パルス(仮説)

森氏が7月30日に八代市で撮影した写真では、
灯籠や一部の建物が、すべて同じ方向に倒れていたといいます。

通常、建物は何度も揺さぶられ、いろいろな方向から力を受けたのちに倒れます。
一方向に揃って倒れたということは、長い時間、一方向にだけ強い力が加わったのではないか——

地震計の記録では、八代市で4秒周期の揺れも確認されており、
非常に周期の長い「長周期パルス」が同時に発生した可能性が
仮説として示されています。

※いずれも速報段階の所見です。
今後の詳細な調査で評価が変わる可能性があります

【3】倒れた家に共通していたこと

揺れの性質は、私たちにはどうにもできません。
しかし森氏の現地調査は、もう一つ別のことを示しています。

■ 接合部(金物)がなかった

全壊被害が多かった氷川町野津の調査では、
柱と梁にL字形の接合部(金物)がないなど、
現在の耐震基準を満たしていない木造住宅が多くあったといいます。

■ 建築年代で倒壊数が大きく違う

能登半島地震における建築年代別の「倒壊・崩壊」棟数です(国土交通省)。

  • ・1981年以前:662棟
  • ・1981〜2000年:48棟
  • ・2000年以降:4棟

同じ揺れを受けても、建てられた年代によって結果が変わります。
そして熊本県内では、住宅約71万1,000戸のうち
約7万5,000戸(10.5%)が旧耐震基準以前に建てられ、
耐震性が不十分とされています(熊本県)。
震度7を観測した氷川町の耐震化率は55%(2020年末)でした。

全国では、耐震性が不十分な住宅は約570万戸と試算されています。
しかもこの推計に空き家は含まれていません。
実際の数はさらに多く、
空き家が倒壊して近隣に被害が及ぶケースも起きています。

■ 被災された方の言葉

震度7を観測した宇城市の50代男性、築30年以上の住宅は全壊しました。
その方はこう語っています。

「耐震基準については、あまり知らなかった」
「10年前の地震で半壊し、給付金で修繕して耐震も多少は意識したが、それでも今回はダメだった」
「慣れ親しんだ場所に住み続けたい。今度は耐震基準を知って建て直したい」

■ だから、診断なのです

森氏の結論は明快でした。

「自分の家が耐震基準を満たしているかどうか、知らない人が多い。
耐震診断をしてもらうことが重要

今年のお盆は、各家庭で
「この家、大丈夫だろうか」という
会話が増えているのではないでしょうか。

ただ、不安を感じても、
どこに相談すればいいのか分からないという方は少なくありません。
相談先が見つからないまま、話が止まってしまいます。

だからこそ、こちらから声をかけることに意味があります。
休み明けに「そういえば親から相談されて」というかたちで、
皆様のところに相談が入る可能性もあります。

チラシやDMなど、その場でお渡しできるものを
組合員専用ホームページでご用意していますので、ぜひご活用ください。

組合員専用ホームページはこちら

<参考>被災された方が使える支援制度

国土交通省が、被災者向けの支援情報をまとめています。

  • ・公営住宅等の空室提供(熊本県内のほか、UR賃貸住宅も全国で確保)
  • ・賃貸型応急住宅 熊本県内13市町村で受付中
  • ・建設型応急住宅 宇城市・氷川町などで着工
  • ・災害復興住宅融資(住宅金融支援機構)と既往ローンの返済相談

※国土交通省 令和8年熊本地震に関する被災者の住まいの確保

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000188.html

関連団体サイト

国土交通省 一般社団法人住宅リフォーム推進協議会 悪質な訪問販売 撲滅!かながわ宣言
安心リフォームの証