耐震補強部材公開実験が開催されました

2007/6/28 木耐協事務局

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 2007年6月28日(木)、木耐協の埼玉事務局にて耐震補強部材公開実験が開催されました。今回は5社10名の組合員が参加しました。

 普段から補強工事を行なっている組合員でも、実際に補強部材の破壊性状等を間近で見る機会はあまりないため、事前より非常に興味を持っている組合員もいました。限られた時間ではありましたが、施工上の注意点も踏まえての説明を行ないました。

 研修内容についてですが、耐力壁と接合部の試験体を準備し、それぞれの試験体概要から試験方法・使用機器等を実物を見ていただきながら説明を行ないました。
 耐力壁については、3割筋かいをV字型に設置したものと、開口部補強として柱間隔が1間(2m)の場合の柱へ添え柱としたものの2体を実験しました。

実験に当たっての事前説明です。
躯体に注目している組合員。
筋かいが外れたところです。

 筋かいについては、片側の筋かいには筋かい端部に筋かいプレート(BP金物)を設置したものと、片側の筋かいは釘止め2-N90として、筋かい金物がある場合と無い場合の挙動も観察しました。
 実験は本来は開始から繰り返しを数回行うため、1時間以上費やしてしまうものですが、今回は予め終局の手前の段階まで進めて終局からの観察を行いました。
 釘止めの筋かいについては、引張側の加力がかかった際に簡単に引きぬけてしまう様子が観察でき、終局時には完全に外れてしまいました。筋かいプレートを設置した筋かいでは引張時に主な破壊を確認できませんでした。最終的には筋かいの面外座屈で筋かいが折れて破壊したのですが、筋かいが折れる前に中間の間柱が切り欠き部分で破壊しており、切り欠き部分にはちょうど大きな節が存在していました。
 特に筋かいのような軸力で抵抗する材料については、こういった節の存在が大きく強度に影響するため、材料を選定する際にも注意を払う必要があることが実験から理解できます。また、筋かいは抜けてしまったり、折れてしまったりするとその瞬間に全く耐力がなくなってしまうため、耐震補強を行う場合は筋かいを増やすのではなく、粘りを持つ面材による補強の方が有効であることも実感できます。

 開口部補強については、1間の開口部に両サイドの柱へ90mm角の添え柱で補強し、腰壁と垂れ壁を面材(MDF)で補強したものを実験し、面材のビスパンチングアウト等の破壊性状を観察しました。
 面材の場合は、筋かいのように少ない接点数で耐力を担保しているものとは違い、ビスや釘で多くの接合点が存在するため、1箇所が破壊したら急激に耐力が落ちてしまうという状況には陥りにくくなっています。この実験においても面材の隅角部分から徐々にビスがパンチングアウトしていく様子が確認できました。

負荷に耐え切れず
筋交いが折れた状態です。
ビスパンチングアウト等の
破壊性状を観察しています。


 ただし面材は、施工方法によっては、実際の耐力を発揮できないような状態にもなります。たとえばビスや釘をめり込ませて施工した場合、正常な施工に比べて耐力が1/3以下まで低下してしまう場合もあります。また、ビスと面材の縁端距離が短い場合は、面材がビスの部分で引きちぎれてしまい、予想外の耐力低下にもつながる可能性もあります。
 強い補強部材でも施工方法を誤ってしまうと正規の性能が得られなくなりますので、施工上の問題点を踏まえて観察を行いました。

 接合部については、Zマーク金物のホールダウン金物25kN用金物(SHD−25)をラグスクリューで取り付けたもので引張試験を行ない、変形性状や破壊に至るまでを観察しました。
 ホールダウン金物の独特な靭性の高い変形性能を発揮し、終局時には溶接部分での破断で試験終了となりました。

施工不良によって通常の耐力が
取れなかった面材(左)です。
金物の引張試験を行っています。
ホールダウン金物の
破断後の状態です。

 配布資料で木質構造の基礎知識について基本となる荷重変形の説明から、破壊の種類や木材の特性を活かした理想的な破壊性状までポイントの解説を行いました。
 また、筋かいや面材だけでなく、伝統工法で用いられている貫工法や土壁等の耐力要素別の破壊性状を解説し、それぞれの長所や短所を含めて説明を行いました。

 今回が第1回目となる公開実験でしたが、梅雨の合間の晴れという非常に暑い中、講義を行う部屋と実験を行う部屋を繰り返し行き来しながら、組合員は最後まで真剣な眼差しで受講していました。
 やはり実際に自分の目で破壊に至るまでを観察できることに満足度が高く得られたようで、実際にお客様へ説明する際にも役立つというご意見を多くいただきました。
 また、別の試験体でも実験を行なってほしいという要望もあったため、次回の公開実験に活かせるようにこれからも取り組んでいきたいと思います。

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