南海トラフ発生時、自治体の避難所は何日持つのか?【木耐協情報通信 vol.440】

コラム

━木耐協情報通信 vol.440━━━━━━━━━━2018年5月29日━━

 ■□ 南海地震時、自治体避難所の限度は1週間!
 □■ ~公助には限界があり、自助・共助が重要~

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木耐協事務局です。

本日は、朝日新聞が自治体に行った南海トラフに関する
アンケート結果をご紹介します。

このアンケートから、自治体の公助だけでは被災時の備蓄が
不足し、自助・共助が重要であることがわかります。

本アンケートは、国が南海トラフによる津波避難対策の
特別強化地域に指定した関東から九州までの139市町村を
対象とし、回答数は136市町村です。

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避難施設が避難住民の避難に耐えられる期間は?
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・「3日程度まで」→ 76(55.88%)
・「1週間程度まで」→ 40(29.41%)
・「2週間から1ヶ月程度まで」→ 3(2.21%)

 → 3日程度と1週間程度の合計で85%

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気象庁から南海トラフ地震に関する臨時情報が出た場合、
住民に避難の呼びかけを検討するか?
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気象庁から以下の3つの臨時情報がでた場合、避難を呼びかけるか?

※「臨時情報」とは、気象庁が南海トラフ地震につながると
 思われる事象が起きた時に自治体へ発表する情報

【1】南海トラフの東側か西側だけで破壊が起き、
   マグニチュード(M)8クラスの大規模地震が発生
【2】前震の恐れがあるM7クラスの地震が発生
【3】東海地域にある複数のひずみ計で変化を観測

【1】、【2】→ 検討する 126(92.65%)
【3】    → 検討する 119(87.50%)

呼びかける避難情報の種類
・「避難準備・高齢者等避難開始」が最多
・「避難指示」「避難勧告」と続く

・「検討しない」と答えた自治体の理由
  愛媛県伊方町「曖昧な情報では混乱を招く」
  高知県安芸市「解除できない情報は出せない」

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広範囲に及ぶ南海トラフ地震 公助だけでなく自助・共助が不可欠
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大半の自治体が避難を呼びかけると回答していますが、
その避難所も55%の自治体が「3日までしか耐えられない」
と回答しています。つまり、災害時における公的支援の
「公助」だけに頼るのは限界があるといえます。

そのため、自らの安全を自ら守る「自助」と
近隣住民・企業が助けあう「共助」が重要となります。

阪神・淡路大震災で倒壊した家屋などから救助された方の
9割は自助・共助によるものでした。日頃の備えがいかに
重要かが伺えます。

住まいの耐震性を高め、備蓄品を備える「自助」だけでなく
日頃のご近所付き合いや地域の防災訓練に参加することも
万一の事態の「共助」につながります。

南海トラフに限らず大地震がいつ、どこで起きるかわかりません。
皆さまの住まいや会社で「自助」・「共助」について
考えてみてはいかがでしょうか。

朝日新聞DIGITAL
南海トラフ地震の兆候あれば、市町村9割が避難喚起検討
https://www.asahi.com/articles/ASL5P6R32L5PPTIL03R.html

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【用語解説】南海トラフ地震に関連する情報(臨時)とは
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想定震源域の一部でマグニチュード(M)8クラスの地震が起きて残りの
領域でも起きる可能性があったり、前触れかもしれないM7クラスの地震
やプレート境界でのすべり現象が観測されたりした場合、地震学者らの
検討会が分析・評価。気象庁が異常の検知から最短2時間後をめどに
「大規模地震の発生可能性が平常時に比べて相対的に高まっている」
などの表現で発表する。予知は困難として、大規模地震対策特別措置法の
「警戒宣言」に代わり昨年11月から運用が始まった。

気象庁 南海トラフ地震に関連する情報の種類と発表条件
http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/nteq/info_criterion.html

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