━木耐協情報通信 vol.442━━━━━━━━━━2018年6月12日━━━
□■ 国土交通省 平成30年版「首都圏白書」
■□ 成果を上げはじめた「都市のスポンジ化」の対応事例
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木耐協事務局です。
本日は、6月8日に閣議決定された平成30年版「首都圏白書」を
ご紹介します。
本白書は、首都圏整備計画の策定及び実施に関する状況について、
毎年国会に報告されているものです。
「首都圏白書」と銘打たれていますが、空き家増加や人口減少
による「都市のスポンジ化」の問題は首都圏だけなく日本全国
共通の問題といえます。
具体的な対応事例も含めてご紹介いたします。
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首都圏白書の主なポイント
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・東京都の周辺4県では既に人口減少局面を迎えている
→ 人口減少の顕在化
・総住宅数が世帯数の増加を上回るペースで増加したことを受け、
郊外部を中心に空き家等が増加傾向
→ 住宅の過剰供給による問題
・特に郊外で計画整備された住宅団地では、開発期に一斉入居した
住民の高齢化等により、空き家化が更に進むおそれ
→ 高齢化が進む住宅団地の問題
・首都圏の広義の空家数は、平成25年調査で260万戸と過去最高。
平成5年から25年の20年間では1.8倍に増加
→ 進む都市の「スポンジ化」
・首都圏全体の空き家率(3.5%)に対して、30キロ超の郊外では
4~6%以上が目立つ。千葉や埼玉でも8%超の市区町村がある
→ 郊外で高まる「空き家率」
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首都圏における「都市のスポンジ化」への対応事例
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【栃木県宇都宮市 もみじ通り】
不動産業者の目利きとオーナー負担の少ない仕組みで
テナント誘致に成功した商店街再生
http://www.met.cm/special/index.php?id=0007
→ 閑古鳥が鳴いていた商店街に、7年間で17軒が出店
宇都宮市と栃木銀行、宇都宮大学と組んだ空き家対策も始まる。
【埼玉県鳩山町 交流拠点整備による団地再生】
http://www.town.hatoyama.saitama.jp/gyosei/shisetsu/sonota/1499070145562.html
・昭和40年代から、都内などへの通勤者向けの住宅団地として開発
・現在では高齢化率が45%を超え、約3,000世帯で空家が100件を超える
・「生涯活躍のまち」の実現に向け、空き店舗に交流拠点
「鳩山町コミュニティ・マルシェ」を整備し、仕事の創出を企図。
【神奈川県座間市 ホシノタニ団地】
老朽社宅を、若い世代をターゲットに交流空間を備えた
賃貸住宅へリノベーション
https://www.odakyu-fudosan.co.jp/sumai/mansion/hoshinotani/
→ 貸し農園・ドッグラン・カフェを併設し、4棟の旧社宅を
リノベーション。満室が続き人口増加にも寄与。
ゆとりある敷地を「まちのひろば」ととらえ、住民だけでなく
地域に開かれた交流の場所を目指す。
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課題も多いが、自治体も対策に本腰をあげている
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人口減少や空き家の増加に対して、1事業者だけでできることは
限られているかもしれません。しかし、自治体も交えた様々な
取り組みが効果を上げている事例も増えてきています。
皆さまの地域や事業の発展に役立つ情報が満載の白書と
なっていますので、ぜひご覧ください。
国土交通省
平成30年版「首都圏白書」をとりまとめました。
(平成29年度首都圏白書に関する年次報告)
http://www.mlit.go.jp/report/press/toshi03_hh_000035.html