阪神・淡路大震災発生から30年を迎えて

1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災は、甚大な被害をもたらしました。この未曾有の災害を教訓に、木造住宅の耐震性を向上させ、大地震による倒壊を防ぐことを目的として「日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)」を設立し、住宅の耐震化に取り組んでまいりました。本特設ページでは、阪神・淡路大震災の被害を振り返るとともに、木耐協の歩みをまとめました。

数字でふり返る阪神・淡路大震災

阪神・淡路大震災から30年の月日が経とうとしています。1995年1月17日の朝5時46分に発生した“兵庫県南部地震”により、6,434人もの尊い人命が奪われました。亡くなられた方の84%が倒壊した家屋による“圧死”だったことが、その後の調査で明らかとなりました。神戸市内の死者に限ると、92%の方は建物倒壊から約15分以内に亡くなっていたとされています。

被害の概要

  • 発生日: 1995年1月17日 午前5時46分
  • 地震の規模: マグニチュード7.3
  • 震源の深さ: 16km
  • 震度7観測地域: 神戸市(須磨区鷹取、長田区大橋、中央区三宮など)、芦屋市、西宮市、淡路島北部など

被害状況(人的・住宅)

  • 死者: 6,434人
  • 行方不明者: 3人
  • 最大避難者数: 316,678人(1995年1月23日時点)
  • 住宅被害: 全壊 104,906棟、合計被害 639,686棟
  • 火災被害: 全焼 7,035棟を含む焼損棟数 7,574棟
  • ライフライン被害: 電気 260万戸停電、水道 127万戸断水、ガス 84.5万戸供給停止

木造住宅が地震で倒壊する4つの原因が明らかに

  • ①耐力壁の不足: 地震に耐える壁が不足していた。
  • ②壁の配置バランスの悪さ: 偏った配置による構造の弱体化。
  • ③接合部の脆弱性: 柱が引き抜かれる構造的欠陥。
  • ④老朽化や腐朽: シロアリ被害や腐食が顕著。

震災がもたらした教訓

 “住宅が倒壊しなければ、命を落とすことがなかった。”

  • 住宅の耐震化が最重要: 倒壊による「圧死」が死者の84%を占めた。耐震性が命を守る鍵
  • どの地域でも大地震のリスクがある: 発生確率0.02%~8%とされた地域での地震が「想定外」のリスクを浮き彫りに
  • 「マイホームが凶器になる」悲劇を防ぐ: 法改正を通じて耐震基準の強化が進む

 このことが私たちに突きつけられた大きな事実ではないでしょうか。
 家具の転倒防止や防災グッズ・食料品の備蓄も大切ですが、何よりも住宅自体の耐震性が重要です。また、この震災により、大地震で木造住宅が倒壊するメカニズムが解明され、平成12年(2000年)には建築基準法が改正され、現在の基準に引き上げられました。2階建て以下の住宅にも引き抜け力に見合った金物を設置することが義務づけられ、耐力壁の配置バランス(偏心率)を考慮することも義務化(明文化)されました。
 さらに、この震災が衝撃的だったのは、大地震の発生確率がわずか0.02%~8%という地域で大地震が発生したということでした。当時、兵庫県南部では大地震はほぼ発生しない、とみられていたのです。この震災以後、“巨大地震は日本のどこで発生してもおかしくない”という意見が専門家からも発言されるようになりました。

木耐協の歩みと活動記録

129社で始まった組合も現在は約1,000社となり、耐震診断の実施件数も17万棟を超えました。木耐協ではこれまでに講習会・研修会を通じて、組合員に耐震事業の技術や知識を伝えると共に、大地震時の被災地支援や消費者向けオンラインセミナーなどを通じて消費者向けにも幅広い活動を行って参りました。木耐協の沿革をふり返ります。

写真でふり返る木耐協の歩み

  • 1998年7月:耐震事業を行なう企業が集まり、民間の任意団体『木造住宅耐震補強推進協議会』(略称:木耐協)を設立
     
  • 1998年9月:第1回耐震技術認定者講習会開催(以後、年3~4回開催)

     
  • 1999年1月:創立総会を開催(東京国際フォーラム)
  • 1999年3月:3月4日、建設省(現在の国土交通省)総合政策局 建設振興課の認可を受け事業者協同組合として組織変更 組合員数129社
  • 1999年9月:組合員数が200社を超える
  • 2004年10月:「新潟県中越地震」災害ボランティア活動に延べ120名が参加
  • 2005年4月:耐震診断実施件数100,000件を超える
  • 2011年8月:東日本大震災の被災地に対して「大工道具支援プロジェクト」を実施

     
  • 2015年3月:国土交通省 住宅リフォーム事業者団体登録制度に登録(登録番号 第3号)

     
  • 2017年4月:「地域防災ステーション」プロジェクトスタート
  • 2018年3月:ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)2018会長賞を受賞
  • 2018年10月:木耐協が「第30 回住生活月間 功労者表彰」において、国土交通大臣表彰を受賞

     
  • 2024年4月:キャッチコピー「地震大国日本を地震耐国日本に」をプレスリリース
  • 2024年10月:小野秀男理事長が 「第36回住生活月間功労者表彰」において、国土交通大臣表彰を受賞

主な活動と成果

  • 耐震診断・補強工事:診断件数約17万5,000棟、耐震補強工事棟数約5万棟
  • 技術向上への取り組み:定期的な講習会・研修会の開催、耐震技術認定者講習会の実施
  • 災害支援活動:新潟県中越地震(2004年)被災地支援プロジェクト、東日本大震災(2011年)の大工道具プロジェクト等
  • 啓発活動:消費者向けオンラインセミナーや市民講座の開催、消費者向けの防災意識向上キャンペーン

「地震大国日本を地震国日本に」

これまでの取り組みを通じて、多くの住宅で耐震化を実現し、安心・安全な暮らしの基盤づくりに貢献してきました。しかし、地震大国である日本では、いつどこでまた大規模地震が発生してもおかしくありません。30年前と同じ悲劇を繰り替えなさいためにも、地震が起きても住宅が倒壊しない【地震耐国】を目指して、これからもこれまでの実績に満足することなく、さらなる技術向上や情報発信を通じて、木造住宅の耐震化に取り組んで参ります。

関連団体サイト

国土交通省 一般社団法人住宅リフォーム推進協議会 悪質な訪問販売 撲滅!かながわ宣言
安心リフォームの証