被害を未然に防ぐため、まず「賢い消費者」になろう
埼玉県富士見市に住む認知症の高齢者姉妹が、3年ほどの間に19社ものリフォーム工事業者と工事契約を繰り返し、約5千万円の被害を蒙るという事件がありました。後で専門家が調査したところ、その大部分が不必要な補強あるいは改修工事であったということです。正常な判断能力を失った高齢者をだますこうした卑劣な行為は、断じて許されるものではありません。
目に余る悪徳リフォーム商法
また大阪府大東市では同じく認知症の83歳になる一人暮らしの女性が、架空の屋根工事などを名目に1,500万円をだまし取られる事件もありました。
さらには、全国を股に掛けてじつに100億円以上も騙し取っていたグループが摘発されて、幹部など数名が逮捕されています。このグループの手口は、「騙しやすい客」のリストを作成してグループ会社に配布、次々にリフォーム工事や高額商品を契約させるという悪質なものでした。
テレビや全国紙などマスコミでもいっせいに類似の商法を取り上げており、この機会にこれら悪質な業者が一掃されるのは望ましいことですが、業界事情に詳しくない方々に対して、「リフォーム業者は信用できない」という印象を与えてしまっている傾向もうかがえます。
住宅リフォーム業界は、きわめて根強い需要に支えられています。かつてのマイホームブーム時代に建てられた大量の家が建て替えの時期を迎えていること、資源有効活用の概念が普及して、建て替えではなくリフォームで長期間使用したいというニーズが高まってきたこと、家の安全性に対する認識が深まって耐震補強の需要が増えていること、などがその背景にあります。
法的規制や取締りだけでは防げない
悪徳リフォーム業者はこうした需要に付け込むのですが、悪質な業者を完全に排除するのは難しいのが現状です。したがって悪徳業者の被害を未然に防ぐには、やはり消費者が賢くなり、自衛するのが一番です。
とはいえ認知症患者など判断能力が低下している人たちに、自衛を呼びかけるのは難しいものです。このため地方自治体などが主導して後見人を選定しようとする動きや、自治会など住民団体が連携して、町内における不審な飛び込みセールスや勧誘行為をチェックしようという試みが始まっています。
多くの自治会で行われている防犯パトロールが空き巣や痴漢防止に効果をあげているのと同じように、地域住民によるこれらの自衛行動には、ある程度の効果が期待できるかもしれません。
また信頼性低下を懸念するリフォーム業界団体が、業者登録制度を設けて「この会社なら安心できる」ということをアピールしようとする試みも始まるなど、イメージ回復への努力がいろいろ試みられています。