家の風通しが悪いと家族の健康を損ね、大切な家の寿命を縮めてしまう
風は、空気の流れです。溜め池の水が腐りやすいように、空気も流れていないと濁ったり澱んだりして、新鮮な酸素を供給できなくなります。そのため、風の通りが悪い家では家族が健康を損ねることがありますし、土台や柱など木材の老朽化を早めるため、家の寿命も短くなります。住まいの中の風は、住む人にとっても家にとっても、きわめて重要な働きをしているのです。
基準法改正で一般住宅にも換気設備の設置を義務付けた理由は
50年ほど前まで、日本の一般住宅はいわゆる伝統工法により建てられるのが普通でした。木材、竹、わら、土、紙などの自然素材を用いた家だったから、きわめて風通しもよいものでした。すきま風が入りやすく、保温性はあまり高くありませんでしたが、少なくとも最近のように換気が重視されるようなこともありません。ごく自然に、家の中の空気が入れ替わっていたからです。
2003年7月1日、建築基準法が改正され、伝統工法による住宅を除き、一般住宅でも居住室には機械的な換気設備の設置が義務づけられました。この主な目的は、シックハウス対策です。
主な目的はシックハウス対策ですが
従来、一般住宅の換気設備はトイレや浴室、台所などに設けるのが普通でしたが、今後は寝室や居間など全ての居住室に機械式の換気設備を設ける必要があります。
マンションなど集合住宅に限らず、最近の住宅は気密性が非常に高くなっています。いわゆる省エネ住宅と呼ばれる住宅などがその代表的なものですが、冷暖房の熱効率を高めるために隙間を極力減らし、壁や天井、床などにも断熱効率の高い素材や気密性の高い構造が採用されています。
強制換気で空気汚染物質を排除
このように家の気密性が高くなる一方で、合板や壁材などの新建材に用いられる化学物質が室内に充満し、私たちの健康を損ねるようになりました。いわゆる「シックハウス症候群」です。
このところ問題になっているシックハウス症候群は化学物質過敏症とも言われ、ホルムアルデヒドなどの有機化合物(VOC)が原因だとされています。VOCは合板類や壁・床材の接着剤などに多く含まれていますが、じつは建材だけでなく日用品にも多量に含有されています。たとえば化粧品やトイレの芳香剤、殺虫剤などです。
これらの汚染物質を、速やかに室外に排出させようというのが、建築基準法改正の目的です。