お風呂やトイレの寒さを「仕方がない」と諦めていませんか?
入浴中、心筋梗塞や脳卒中などの発作で亡くなる人が年間1万5000人以上もいるといいます(厚労省・人口動態調査)。その大部分が高齢者だが、これは交通事故死亡者のほぼ2倍にあたります。また注目すべき点は、それらの事故が12月から3月の寒い時期に集中的に発生していることです。入浴の健康増進効果は広く知られていますが、そのお風呂で死亡する人が多いというのはどこかおかしいですね。原因はヒートショックだということなのですが、いったい私たちの家のお風呂にどんな問題があるというのでしょう。厳しい寒さを迎える前に、家庭内事故から家族の生命を守るためにも、あらためて考えなおす必要があるのではないでしょうか。

入浴中の血圧の変化を、高血圧の人と正常な血圧の人で比較したグラフです。
血圧の大きな変化が心筋梗塞や脳卒中の原因となります。
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バリアは階段や段差だけではなく、大きな温度差も問題です
家庭内事故というと、階段や段差での転倒や転落、あるいは火傷などが連想されます。最近増えているバリアフリー住宅というのは、高齢者や障害者にも動きやすく、使いやすい住宅を意味しており、段差をスロープにしたり、階段や玄関まわりに手すりをつけるなどの配慮をした住宅のことですが、これだけでは十分ではないという意見が出始めました。
住む人の安全を脅かすバリア(障害)は、階段や段差だけではないというのです。その代表的なものとして注目されているのが「温度バリア」です。
血圧の急激な変化が心臓に負担
日本の家屋は、伝統的に真夏の蒸し暑さをしのぎやすいように作られていて、寒さ対策を二の次にしてきました。
しかし真冬の夜中や早朝、暖かい布団から抜け出してトイレに行ったとき、思わずブルッとしたことはありませんか? これがヒートショックといわれる現象で、高齢者や高血圧ぎみの人にとっては、心筋梗塞や脳血管障害を引き起こし、命取りになる危険性さえあるのです。
入浴のときも同様で、暖かい居間から暖房されていない脱衣場に移って衣服を脱ぐだけで、血圧は急激に上がります。熱いお湯に触れると心臓への負担が大きくなるため、血圧はさらに上昇します。しかしお湯にどっぷり浸かると温熱効果で血管が拡張し、今度は血圧が急激に下がります。入浴を終えて再び寒い脱衣場で服を着る行動によって、また血圧が上昇します。このような血圧の急激な上昇と下降のくり返しが、身体に大きな負担をかけることになるというわけです。
次のページでは、入浴の際の温度差とどう付き合っていくか、そのための方法としての浴室暖房についてご案内します。