かつてリフォーム会社の経営者から、「リフォームにトラブルはつきものですから」という言葉を聞いたことがあります。どれだけいい仕事をしても、必ず施主からは不満が出てくるものだというのですが、それは施主の方にとってもリフォーム業者にとっても不幸なことではないでしょうか。
トラブルの原因はいろいろありますが、結局は施主と業者との間の意思疎通が不十分だったところに起因することが多いようです。「自分が頼んだようにできていない」という施主の方の不満と、「注文通りの仕事はしてある」という業者の言い分が真っ向から対立するケースがしばしばありますが、こうした事態になってしまう時には双方に誤解があることが多いようです。
工事が八分通り仕上がった段階で、施主から「イメージが違う」とやり直しの依頼が入った時、それが単なる手直しなのか、それとも仕様変更にもとづく追加工事になるかは微妙な問題です。このような問題が起きるのも、リフォーム工事では細部まで詳細にわたって契約書に明記することが少ないからです。したがって工事契約を結ぶ前に、できるだけ具体的に工事の内容と範囲について協議を行い、必ず書面の形にしておくべきです。「言った」「言わない」の水掛け論争は、これでほとんど予防できるでしょう。
と同時に、なぜ自分がこの工事をしたいのか、どのような仕上がりにしたいのかなどを、なるべく具体的に、的確に業者に伝えておきましょう。予算の枠があるのであれば、それも事前に知らせておいたほうがいいのはもちろんのことです。
安全の確保は最優先すべき課題
住宅リフォームの動機は、部分的な損壊、老朽化、家族構成の変化にともなう生活様式の変化などさまざまだが、いずれにしても暮らしの拠点である家を、より快適で便利なものにしたいという願望がこめられているのは間違いありません。
住まいが快適であるというのは、私たちの日常生活において重要な要素ですから、快適さを追求することは決して悪いことではありません。しかし、ややもすると快適さや使いやすさばかりに目が向いて、安全性への配慮を忘れてしまうことがあります。
たとえば1階の居間にしている和室を洋間にするなどの改装はよく行われますが、そのとき南面のサッシを大きなものに取り替え、壁の一部を撤去するといったケースがあります。光がいっぱい入る部屋にしたいと願う人は多いのですが、1階の壁には2階の重量を支えるという役割もありますから、安全性が損なわれる可能性が非常に大きいです。
また平屋建てとして作られた家に、ほぼ同じ面積の2階を乗せる増築例もしばしば見かけます。構造計算をしっかり行った上での増築であればいいのですが、リフォームの場合はそこまでの手間をかけないことが多いようです。これまでの大震災で大きな被害を受けた家屋に、無理な増改築を行ったケースが多いことはよく知られている通りです。せっかく高いお金をかけて改装した家が、ちょっとした地震で倒壊したのでは目も当てられません。
従ってリフォームを行うときはまず安全性の確保が絶対不可欠の条件であり、快適さや便利さ、使いやすさ、見た目の良さなどは二次的な問題と考えましょう。