第10期通常総会を開催しました

2008/2/21 木耐協事務局 文責:稲瀬

 2月21日(木)に「木耐協第10期通常総会」が全逓会館(東京都文京区)にて開催されました。
 議事進行に先立ち、今回の特別講演では東京大学生産技術研究所の野城智也(やしろともなり)教授に「ストック型社会に向けての住宅履歴整備」と題してご講演をいただきました。

 平成18年6月8日に住生活基本法が公布・施行され、これまでの「量」重視の住宅政策から、「質」重視の住宅政策へ転換しました。これは言い換えると「住宅を作っては壊す」社会から「いい住宅ストックを形成し、世帯や世代を超えて長く大切に使う」社会への転換を目指すことになります。
 今回ご講演いただいた野城教授の住宅履歴整備に関するプロジェクトも、国が進める住宅政策を具体化するための対策の一つです。現在政府は"200年住宅"構想を提唱していますが、これは必ずしも高性能・高コストの住宅を創るという話ではなく、継続的な維持・管理を行いながら家を長持ちさせるシステムを作成することが目的であり、実現するためには住宅を保たせる努力が報われる社会にする必要があります。

 現在日本における不動産市場では、主に土地の価値のみが評価され、建物の価値は築15年を経過するとほとんど評価されなくなってしまいます。こまめに手入れ(リフォーム)をしている建物は、全く管理をしていない建物に比べると長持ちするはずなのですが、そういった長持ちのための努力は評価されない仕組みになっており、その原因として、家屋に関する履歴がないことが挙げられます。新築時の情報が失われている家屋も多く、リフォームの履歴はほとんど残されていません。このような状態では、建物評価の基準がないため、単純に築年数のみで判断せざるを得なくなってしまいます。

 新築時にどのような状態で建築されたのか、その後どのようなリフォームを行ったのか、住宅設備の耐用年数はどうかなど、住宅に関する履歴をきちんと管理することができれば、市場はその家屋に対し適正な評価をすることが可能になります。

 野城教授は住宅履歴整備のための「SMILE PROJECT」メンバーとして、住宅履歴書システム(http://www.kke.co.jp/smile/)を仮運用されており、画面を使用して実際の運用イメージをご説明いただきました。

 日本の住宅産業が大きく様変わりしようとしています。木耐協組合員を含め住宅に携わる建設会社は「住宅を作っては壊す」社会に依存した経営環境にあり、ストック重視のこれからの市場を見定めなければ生き残れない環境にあります。それだけに参加された組合員は皆さん真剣に聴講されていました。野城教授の住宅履歴書もそうですが、今後どのような対策がスタンダードになるかは、答えが出ていません。それだけに今の段階では多くの情報を取得し、今後の方向性を見定める必要があります。
 ストック重視の住宅政策に住宅の耐震化は必須です。木耐協ではこれからも今後の住宅政策に関する情報を発信し続け、組合員が正しい経営判断が行える環境の創造に努力いたします。

野城智也教授の講演の様子です。
今後の住宅行政が向かうであろう「ストック型社会」に向けての興味深い講演を、組合員も集中して聴講していました。


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