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2006年9月1日 朝日新聞朝刊 1面
2006年9月1日 朝日新聞朝刊 2面
耐震強度偽装事件を受け、建築確認制度の見直しを進めている国土交通省は、2階建て以下の木造住宅の建築確認の際、省略していた耐震強度の審査を、今年度中にも義務化する方針を固めた。東京の建売会社が建てた700棟近い木造住宅で強度不足が発覚したことなどから、特例扱いの廃止が不可欠と判断した。設計能力の劣る建築士の排除が期待される一方、負担が増える自治体や民間検査機関の業務に影響が出そうだ。
市街地での家造りに必要な建築確認では、鉄筋コンクリート造りのビルやマンションは、構造の強さを確かめることが欠かせないが、小規模な木造住宅の場合、建築士による設計であれば、審査の省略が、建築基準法の施行令で特例として認められている。
木造建築士制度の発足に伴い84年度から始まった措置で、2階建て以下や延べ面積500平方メートル以下、高さ13メートル以下の建物が対象。国交省の統計によると、昨年度は全国で約40万戸が対象になったとみられる。
だが、今年6月、都内の建売会社が建築・販売した木造2階建て住宅681棟で、耐震強度不足が発覚した。また、中小工務店などでつくる日本木造住宅耐震補強事業者協同組合の調査でも、耐震強度の基準が厳しくなった81年以降に完成した住宅約2万4000棟を調べたところ、強度不足は62%にのぼったという。
都内の建売会社の強度不足を見逃した民間検査機関は、建築確認の際、耐震強度の審査はしていなかったという。
国交省は、被害が広がった背景には建築確認時の構造審査の省略があったと分析。年度内に政令を改正し、特例を撤廃することにした。
姉歯秀次元建築士による耐震偽装事件では、ホテルやマンションの構造設計のずさんさを、自治体や民間検査機関が建築確認の際に見抜けなかったことが問題となった。再発防止のため、国交省は先の通常国会で建築基準法を改正し、中規模以上の建物の審査を厳格化したが、木造住宅の対策は手つかずのままで、耐震性の確保は事実上、業者任せだった。
木造住宅の構造審査の義務化について、国交省は「木造住宅に対する消費者や関係者の信頼を取りもどすことが必要だと判断した」(幹部)としている。
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「耐震元年」鈍い自治体 改修計画 都道府県策定ゼロ
9月1日は関東大震災にちなんだ「防災の日」。改正耐震改修促進法が1月に施行され、国土交通省が「耐震元年」と位置づける今年、自治体が民間住宅の耐震化にどう取り組むかが焦点となっている。国や先進自治体が「減災」の最も効果的な対策として耐震改修の補助拡大に努める中、出遅れた自治体との意識の差がますます顕著になってきた。
「『予算がない』とか『お金がない』という言い訳は通じない。首長の方々の意識が非常に大きい。やっているところはやっている」
8月25日。閣議後の記者会見に臨んだ北側国交相が、耐震改修をめぐる自治体の取り組みの鈍さに苦言を呈した。
北側国交相は昨年暮れ、予算編成の会見で決意を語った。「ぜひ来年を『耐震元年』と位置づける年にしたい」
国は、推定約75%の耐震化率を2015年までに90%にする目標を掲げる。推計約1150万戸の住宅の耐震性が不足する中、従来の2〜3倍のペースで改修を進めないと達成できない。
しかし、同省の7月1日現在の調査が浮き彫りにしたのは「笛吹けど踊らず」の自治体の姿だった。
改正法は、数値目標を定めた促進計画の策定を都道府県に義務付け、同省は1月26日の施行後、半年がめどと通知した。だが、策定した都道府県はゼロ。「12月までに策定」と答えたのも半分以下の22自治体にとどまる。
同省は06年度、耐震改修関連の国庫補助を前年度当初の総額20億円から130億円に拡充した。東海地震の対策強化地域などに限っていた補助の地域要件も撤廃した。
ところが戸建てに限っても、全国1843市区町村のうち耐震改修の補助制度があるのは約24%の448だけ。17道県で全市町村に改修の補助制度がなく、うち北海道や秋田、香川、佐賀など7道県では改修の前提となる耐震診断の補助制度も全市町村になかった。
補助制度がない自治体の住民は、改修促進のために導入された所得税控除も受けられない。国交相住宅局の担当者は「国としてできる限りの支援策をそろえた。もっとスピード間を持って進めてほしい」と渋い顔だ。
費用補助 自己負担額に差
一戸建てが立ち並ぶ東京都世田谷区の住宅街。8月31日、2階建ての木造住宅では耐震改修工事の真っ最中だった。1階の壁をはがし、特殊金具で接合部を補強した柱の上から耐震ボードを張りつける。
工事を請け負う東京都調布市の建築会社は、都内で年約200件の耐震改修をこなす。1級建築士でもある同社役員(36)は「都内でも市や区ごとに補助制度がばらばら。同種工事でも100万円の補助が出たり、1円も出なかったりする。依頼者の自己負担額に大きな差が出て、不公平だ」と実態を明かす。
95年の阪神大震災は、地震直後の死者の8割以上が建物の倒壊などによる圧死や窒息死。その教訓から「最大の地震対策は住宅の耐震化」という理念が広がった。
特に改修費補助が手厚い横浜市は今年8月から補助率の制限を撤廃。一般世帯150万円、非課税世帯225万円を上限に全額補助する。同市住宅計画課の脇出一郎・担当課長は「従来より補助額を減らしたが、新制度では自己負担ゼロの場合もある。より多くの住宅で改修が進むようにアピールしていく」と話す。
東海地震対策を急ぐ静岡や愛知は県手動で補助制度を展開。静岡では05年度までに4678戸、愛知では同3068戸が補助を受けて改修した。
先進地が対策を加速する一方、多くの自治体は厳しい財政事情の影響で、対応が後手に回っている。
香川県では高松市など4市3町が東南海・南海地震の対策推進地域だが、小中学校の耐震化率が全国最下位の約33%。まずは学校の耐震化が最優先で、民間住宅の診断、改修の補助制度は全県で未整備だ。県建築家の担当者は「ない袖は振れず、住宅まで手が回らない。10年間で耐震化率を90%に上げるのはしんどい」と打ち明ける。
同様に全県で診断、改修の補助がない鹿児島県の担当者は「大きなプレートがあり、まもなく起きると言われる地域とは意識が違う」と話す。
一方、改正法施行を機に一歩を踏み出したのは札幌市。市議の提案で、2月に住宅耐震化促進条例を制定。近く耐震診断の補助制度を導入する。
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