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田辺市はこのほど、住宅や公共建築物の耐震改修促進計画の素案を作った。大規模な地震が発生した時に建物倒壊による死傷者数を半減させるため、2015年度までに住宅や公共建築物の耐震化に取り組む。市内住宅の耐震化率(耐震性のある建物の割合)を現状の56・1%から80%に高めることや、市有建築物の耐震化率を65・8%から93%に引き上げることなどを盛り込んだ。田辺市が耐震化で数値目標を掲げたのは初めて。
耐震改修促進計画は06年1月に改正耐震改修促進法が施行されたことを受け、市が策定に取り組んでいる。計画の策定によって、目標を明確にすることや国からの補助金を受けやすくなるといったメリットがある。
計画案によると、市内の全住宅戸数は05年度末で3万3118戸あり、このうち人が住んでいるのは3万2072戸。耐震性が不十分な住宅は1万4078戸に上っており、耐震化率は56・1%と低い。
市は15年度末には、建て替えや自主的な改修などによって耐震性が不十分な住宅は8633戸に減り、耐震化率は72・9%になると推計しているが、さらに2243戸の改修を促すことで80%にまで耐震化率を高める方針だ。達成のためには08年度からの8年間で年間約280戸の耐震改修をしていく必要がある。市防災対策室は「相当高いハードルであり、力を入れて取り組みたい」という。
市有建築物で「防災上重要」として耐震化の対象とする建築物は243棟。06年度末現在、耐震性が確保されているのは160棟で、耐震化率は65・8%。15年度末までに残り83棟のうち66棟の耐震化を図り、耐震化率を93%に引き上げる。内訳は小中学校の校舎と体育館が41棟、それ以外の施設が25棟という。
また、多くの人が利用する商業施設などの特定建築物(民間)についても、耐震性が不十分な32棟(05年度末)を半分に減らす。
市防災対策室は「現在、耐震性が不十分な住宅を15年までに半分以下に減らし、死傷者数を半減させたい」と話している。
4割が全壊・焼失 市内の建物
県が2006年に公表した地震被害想定調査では、東海・東南海・南海地震が同時発生した場合、田辺市内の建物被害は旧田辺市地域に集中し、最悪の場合、市全体の建物数(6万9438棟)の4割余りの2万9627棟が全壊・焼失すると予測している。
市内の死者数は1110〜1260人に上り、建物倒壊によるものが871〜1071人。1946年に起きた昭和南海地震の死者69人(旧田辺市内のみ)を大きく上回る恐れがある。
田辺市は31日まで、計画案に対する市民の意見を募集している。寄せられた意見を参考にして3月に計画を策定する予定。計画案は田辺市防災対策室や各行政局総務課などで閲覧できるほか、市のホームページからも入手できる。
問い合わせは田辺市防災対策室(0739・26・9916)へ。
「倒壊でけが」不安75% 住宅所有者に聞く
田辺市が耐震改修促進計画の参考にしようと、一般住宅の所有者らを対象に行ったアンケートで、回答者の75%が大規模地震が発生した場合、建物の倒壊によって負傷するのではないかと不安を感じていることが分かった。一方で、費用負担を懸念してか診断、改修ともに予定していない人が多い。
調査は昨年8〜10月に行った。調査の対象は1981年6月の耐震基準強化前に建てられた、市内にある商業施設など特定建築物(民間)の所有者と一般住宅の所有者3500人で、1542人が回答した。年代は70代が522人で最も多く、60代423人、80代244人が続いた。
大規模な地震が起きた場合の不安を聞いた質問(複数回答)では、1157人が「建物倒壊による負傷」を選び最も多かった。「断水、停電、(電話などの)不通」と「集落の孤立」がともに66・9%(1031人)で続いた。
一方で、耐震診断の実施状況についての質問では、最も多い37・4%(577人)が「実施する予定はない」と回答。耐震改修の質問でも「予定はない」という回答が半分近い41・6%(642人)に上り最多だった。
診断の予定がないとした人のうち最も多い45・9%(265人)が「費用負担が大きい」と回答。市防災対策室は「診断は無料で実施できる制度があるが、診断後の耐震改修に費用がかかることを懸念しているようだ」と分析する。
また、改修を促すために必要な支援について聞いたところ、45・5%(701人)が「補助金の増額」を挙げており、市防災対策室は「今後、補助金の拡充など改修費用の負担軽減策を検討していく必要がある」と話している。
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