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第20回 柱接合部による低減係数f


今月は新診断・補強方法について、「柱接合部による低減係数f」に関する問題を考えてみます。

A 【問題点】
「従来、対象から外していた2階部分の診断・改修案が避けて通れなくなり、どう対応したらよいか困っている」との悩みが耳に入ります。
(1) 補助金・助成金を利用しての業務では確かにこの問題を避けては通れませんね。 
(2) 上記外でも、お客様の要望や疑問に対して対応できないと、信頼を失う心配がある。
 これらのケースにどう対処すべきか考えて見ましょう。

B 【解決策】
2階の壁量はある程度確保されている場合が多い。(中には図面を見ただけで壁量が全く足りない!ようなアブナイ建物もありますが…)
(1) ある程度確保されている場合:接合ランクV又はWの場合、これをランクUに上げるだけでクリアーできないか?をまず最初に 検討してみてください。(案外上部構造評点1.0以上の確保が可能なケースが多いと思います)
このような場合は最小限の仕事量に抑えることができるでしょう。
(2) 壁量不足が明らかな場合:耐力壁の追加が避けられませんので追加します。この追加壁の場所は各々建物毎に異なると思いますが、押入・収納等があればここを優先的に選択します。そうでない場合にはやむなく居室等の壁をいじることになります。

C 【施工】
この問題が最もやっかいですね。
(1) 「接合ランクを上げる」と一言でいっても、実は大変な仕事が要求されます。まず作業をするには「作業スペース」がどうしても必要となるからです。つまり(1)壁の撤去⇒壁の復旧(壁強さの変更も含む)、(2)天井点検口の設置にて腕の入るスペースを確保して作業可能な状況を作る、といったことは「ランクを上げる」為だけにでも最小限必要な仕事になります。従って相応の工事費にはね返りますが、かといって避けては通れません。掛かるものは掛かります。
(2) 上記(1)の場合でも、「壁を撤去」してみても予定通りの作業が不可能なケースもあります。例えば、(1)天井懐が狭く予定の金物が納まらない、(2)壁脚部に根太があり邪魔になる、等々です。
(3) こんな場合は「ランクII」(山形プレートや角金物等)に上げるよりは、「ランクI」(ホールダウン金物)の方が施工しやすいことになります。山形プレート等は柱・梁の側面に取付けるもので、ホールダウンは柱寸法の内部つまり「壁内」での納まりだからです。勿論ホールダウンは告示1460号(ほ)に従い、10kN未満の場合は座金タイプ(4.5-40*40)、それ以上は上下階連結タイプとします。
(4) 2階壁脚部でのホールダウン取付けには2階壁撤去だけでは作業ができませんので下階の天井にも作業用点検口が必要で、上下に別れて最低二人の作業員が必要となります。
(5) こうした作業を考慮して工事費の見積をしてください。
(6) 上記(4)のように「接合ランクI」に改修するとなれば、改修の箇所数も最小限に抑えることが可能となります。
(7) 床・天井の撤去・復旧はせずに、せいぜい天井点検口の設置で済ませることは可能だと思います。
(8) 壁量不足が明らかな場合にでもこれらを前提に考えれば「上部構造評点1.0以上の確保」はそれ程遠い話ではない筈です。

D 【注意点】
 改修工事と効果について、例えばホールダウン金物を柱脚-胴差等(特につなぎ材)の梁に設置した場合、柱に発生した引抜力がダイレクトにこの横臥材を引き上げることになるので、簡単に外れてしまうケースも多々あります。このようなことの無いようにしっかりチェックして、横臥材の浮上り防止対策等、しかるべき対処をしてください。

E 【事例】
 天井点検口の設置により、1階柱頭の接合ランク確保をすでに実施している組合員はおられます。この方法を2階にも応用すれば良い訳ですから、あまり悩み過ぎずにまず実行してみてください。そうすれば自ずからその先も見えてくる筈です。


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