【前回分はこちら:第17回 新診断法の解説(7)】
7回にわたって見てきた「新診断・一般診断」の中味の結果を受けて、いよいよ診断のまとめとなりました。一体どんな落とし所にまとめられているのか? 直接的な関連ページはテキストの36ページであり、まとめのスタイルとしては44ページです。
現行の診断結果が建物本体・地盤基礎を含めて総合的にまとめているのに対して、新診断の場合は建物本体(上部構造と呼ぶ)と地盤基礎とを分けてまとめているのが大きな特徴と言えます。更に現行では1階各方向に(実際にはその内評点の低い方向のみを採用)だけ与えられていた評点が新診断では各階・各方向に与えられるのも大きな違いです。
キーポイント21
上部構造の評点付けは、その階・その方向が「保有している(と想定される)耐力Pd」とその階・その方向に要求される、つまり「必要とされる耐力Qr」との比較で行なわれる。 言いかえれば【上部構造評点=Pd/Qr】である。
(注)この「新診断の上部構造評点付けの良い所」は、各階・各方向の点数が同時にすべてが目に見えることであろう。旧診断法では1階評点の低い方向しか印刷されていないので、異なる方向の実態が見えない。このため弱い方向にのみ神経が注がれ、その方向だけを補強・改修の最重点課題と勘違いする場合が多いように見受けられた。結果的に補強を施す方向は1.0以上の評点を確保出来ても、異なる方向は1.0未満のまま放置される危険性があったのである(例えばX方向評点0.6、Y方向0.8の場合、診断結果としての総合評点はX方向の評点0.6だけが取り上げられ、Y方向が1.0未満であるのに評点がどこにも出てこない不合理さがあった)。総合評点のプリントは両方向にすべきだと主張したこともあったが、実現しないまま「新診断法」の発表を待つことになってしまった。
新しい評点付けでは、全てが同時に確認出来るので、補強・改修の対象箇所が複数階或いは複数方向必要であるという見方が容易にできる。
キーポイント22
次に地盤・基礎に関しては、先に述べた「上部構造評点」とは切り離されているとは言え、基礎についてはその状況に対応して(接合状況により)上部構造の評価に反映させているので、全くの切離しではない(23ページ下から7行目参照)。 その上で「地盤・基礎」については別途扱いとして、44ページのように該当する箇所に○印を付け、更に「注意事項」欄には23・24ページにあるような適切な注意点を述べるに留めるものである。ただし注意点を書けば良いという代物ではなく、非常に大事な要因であることには現行と変わりはないと肝に銘じて行動していただきたい。
(注)今回の評点付けにおける構成で、下部構造(地盤・基礎)とを分離した背景には色々な判断がなされたと思いますが、先ず一番に「(下部構造が損傷・破壊しても、それ以上に)上部構造を堅固にすべきである」、そして「地盤・基礎の改修・改善には費用が掛かり過ぎ、実施される例が少なすぎる」、更に「そもそも(性質・性能の違いすぎる)上下構造をまとめて評価するのには無理がある」等の議論もあったのではないかと想像できます。
おおざっぱではありますが、「新診断のうちの【一般診断】の流れ・構成等」を見てきました。皆様いかが感じられましたか? 一旦このシリーズは今回を以って終了といたします。ご意見等があればどうぞお聞かせ下さい。
次号からは、「やさしい構造」をテーマに何か皆様のお役にたてる話でも書いてみましょう。思い付きで別テーマも飛び入りするかも知れませんが、引き続きご愛読の程を。