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第11回 新診断法の解説(1)


 これからしばらくの間、新診断法の解説が続くと思います。テキスト無しで読むのは大変かも知れませんが、出来るだけ丁寧に解説するつもりです。最後までお付き合いください。
 今回は最初ですので、本、新診断法の概要から入り、追って各部の内容解説にしたいと思っています。

 今まで木造住宅(特に在来構法による)は、非木造の建物に比べ格段に耐震性の研究は遅れていた訳で、結果として阪神・淡路大震災を経験し、「木造住宅の耐震安全性」が叫ばれることになった。皮肉なことですが、あの震災であれほどの犠牲が出なければ、木造住宅はまだこれほどの見直しをしていないのかも知れない。
ともあれ、あの震災がきっかけで耐震性の研究や補強法の提案が急速に進められ、ほぼ9年半の歳月を経た現在、これらの知見の積み重ねをバックに「診断法の改定」が実現したものである。

 今回の改定は木造住宅の耐震診断にとっては、「大改定」である。ではその特徴を垣間見ることにしよう。

(1)適用範囲の拡大:本診断法により診断してよい建物は以下の通り

在来軸組構法
枠組壁工法(つまりツーバイフォー)
伝統的構法
前記各建物と他の構造(鉄骨造やRC造)との立面的な混構造建物の木造部分

 であり、更に階数は3までと広げられている。テキストではわざわざ触れていないが、従来の診断は2階建てでも診断する階は1階に限っていましたが、これからは各階全てが診断対象になっています。
 従ってこの結果本診断法で取扱わない建物としては、
丸太組構法
旧38条認定及び型式適合認定によるプレファブ
 であり平面的な混構造も適用範囲外となる。

(2)耐震診断法の充実:合わせて3通りの診断法を用意(細部は更に細分化)
 1つ目は、エンドユーザー向けの「誰でもできるわが家の耐震診断」…従来よりずっと簡単、啓発がねらい。
 2つ目は、補強の要否を判断する診断が主目的の「一般診断法」であり、この診断をする人は建築士・大工・工務店の建築関係者が念頭に置かれている。
 そして第3では、いわゆる「精密診断法」となっており、一般診断法で「要補強」と診断された建物の補強の要否の最終判断並びに「補強後の耐震診断」が主目的であり、診断者としてはやや高度な知識と経験が要求されることから、原則として建築士を対象にしている。この「精密診断法」には4つの診断手法が用意され、建物の特徴・補強の方法により最も適した「診断法」により手法を選択できるようになっている。(詳細は追って解説)

(3) 評価対象の耐力要素の拡大
 適用範囲の拡大や、耐力壁以外のメクラ壁や垂壁等・柱の曲げ耐力等、新たな耐震要素の提案・開発等を受け、評価対象となる耐力要素の拡大が図られた。

(4)診断対象の地震動の明確化
 中小地震ではなく、大地震時の建物の倒壊・崩壊の防止の観点から診断する立場を取る。

(5)診断法の精緻化
 旧来あいまいだった点の見直し等により、
基礎の役目と地震時の耐力壁等の支持能力を評価。
建物荷重の見直しと細分化(「軽い屋根」「重い屋根」の2種類から、「軽い」「重い」「非常に重い」建物に)、更に多雪区域の積雪荷重の考慮。
従来評点に反映しない部分的な欠陥等(主に接合部)についても評点化し、補強すれば評点もアップする仕組になった。
偏心率だけで処理してきた耐力壁の配置に関する評価にはその「床剛性」を加味し関連付けた(偏心率の他に、4分割法も採用)。
劣化(従来の老朽度)については、「精密診断法」の場合は部材単位での評価に改定。

(6)補強方法の充実
 新たな補強技術紹介を加えた。(小生の見る所、充実と言えるか疑問)

(7)その他
 他の特徴を見ると、
[1] 診断結果の総合評価をするに当り、「地盤・基礎」と「上部構造」に分け、上部構造にだけ評点を与えてランク付けし、地盤・基礎については「注意事項」として問題点の指摘に留める。
[2] 壁の強さ評価では、倍率表現を廃止して、その耐力で評価する。〔壁以外(接合部等)の評価も同じ。但し床面では品確法の床倍率を使用〕
[3]各部に低減係数が用意されているが、各診断レベルにより仕様から数値解析の裏付け等、要求が異なったり、診断手法の選択も準備されているものもある。

ざっと以上のように小生は掴んだが、講習を聞いた皆さんは如何? 次号からはもっと突っ込んでみましょう。