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第3回 2階部分の「上部構造評点」を上げる具体的な方法(3)

(1)早速ですが筋交のある柱aとfについてのN値は、単独壁で筋交上端が取付く柱ですからαは+補正なので,
 1) 壁倍率が大貫筋交 (15×90:倍率1.0)だけの時:【大貫筋交は補正なし!】 
   N=(A±α)×β-γ=(1.0±0) ×0.8-0.4=0.4<0.65
     ⇒ 短ホゾでは不可!(長ホゾ込み栓orL字角金物要ならOK)
 2) 壁倍率が大貫筋交(15×90:倍率1.0)と塗り壁(倍率0.5)の時:【大貫筋交は補正なし!】 
   N=(A±α)×β-γ=(1.5±0) ×0.8-0.4=0.8<1.0
     ⇒ 長ホゾ込み栓等でも不可!(T字角金物or山形プレート要)
 3) 壁倍率が三つ割筋交 (30×90:倍率1.5)だけの時:【筋交補正は+0.5!】
   N=(A±α)×β-γ=(1.5+0.5) ×0.8-0.4=1.2<1.4
     ⇒ 羽子板or短冊金物要。

 つまり2階の角柱(出隅柱)で図のような筋交付きの柱については、「殆どの場合、なす術がない」ことになる。
 外側から何とか出来ないか?…を考えるしかない。軒天がない場合とか、軒天を一時撤去して対応するとか!(このような場合として前回は(1)何もしない、(2)壁をいじる、しかないと書きましたが、(3)外側から対応する。…も選択肢に加えておきたい。通し柱でない場合の出隅柱は倒壊を引起こす危険度が他の部位より高いのでナントカしたい!)


(2)次に3尺内側の柱bとeについて考えてみましょう。この場合は筋交下端が取付く柱ですのでαは-補正となります。
 1) 壁倍率が大貫筋交(15×90:倍率1.0)だけの時:【大貫筋交は補正なし!】
   N=(A±α)×β-γ=(1.0±0) ×0.5-0.6=-0.1<0.0
     ⇒ 短ホゾでは又はカスガイで可!(何もしないでOK!)
 2) 壁倍率が三つ割筋交 (30×90:倍率1.5) だけの時:【筋交補正は-0.5!】
   N=(A±α)×β-γ=(1.5-0.5) ×0.5-0.6=-0.1<0.0
     ⇒ 短ホゾでは又はカスガイで可!(何もしないでOK!)
 3) 壁倍率が大貫筋交 (15×90:倍率1.0)と塗り壁(倍率0.5)の時:【大貫筋交は補正なし!】 
   N=(A±α)×β-γ=(1.5±0) ×0.5-0.6=0.15<0.65
     ⇒ 長ホゾ込み栓orL字角金物要!
 4) 壁倍率が三つ割筋交 (30×90:倍率1.5)と塗り壁(倍率0.5)の時:【筋交補正は-0.5!】
   N=(A±α)×β-γ=(2.0-0.5) ×0.5-0.6=0.15<0.65
     ⇒ 長ホゾ込み栓orL字角金物要!…【直上の3に同じ】
 5) 壁倍率が三つ割筋交 (30×90:倍率1.5)と石膏ボードt12以上直張り(1.0)の時:【筋交補正は-0.5!】
   N=(A±α)×β-γ=(2.5-0.5) ×0.5-0.6=0.4<0.65
     ⇒ 長ホゾ込み栓orL字角金物要!…【直上の3、4に同じ】

 このケースでは1) 、2)なら通常は短ホゾ以上だから何もしないで良い。 3)〜5)は同じ結果で長ホゾ込み栓orL字角金物が要求されるので、(1)と同様の対策が望まれる。


(3)最後に「筋交のない無開口壁」の両側柱c、dについて見てみます。【片筋交が存在しないので全てαの補正は不要】
 1) 壁倍率が0.5(土塗り壁等)の時:【他に「木ずり等を片面打付け」、「胴縁仕様の石膏ボードt12以上(0.5)」の壁】
   N=(A)×β-γ=(0.5) ×0.5-0.6=-0.35<0.0
     ⇒ 短ホゾでは又はカスガイで可!(何もしないでOK!)
 2) 壁倍率が1.0(木ずり等を両面打付け)の時:【他に「土塗り壁+胴縁仕様石膏ボードt12以上(0.5)」、「胴縁仕様石膏ボードt12以上両面(1.0)」、「石膏ボードt12上で直張り(1.0)」、「貫仕様の石膏ラスボードt9以上(1.0)」等】
   N=(A±α)×β-γ=(1.0) ×0.5-0.6=-0.10<0.0
     ⇒ 短ホゾでは又はカスガイで可!(何もしないでOK!)
 3) 壁倍率が1.5の時:【「土塗り壁+石膏ボードt12以上で直張り(1.0)」、「胴縁仕様の石膏ボードt12以上(0.5)+貫仕様の石膏ラスボードt9以上(1.0)」、「単独使用で、貫仕様の構造用合板・構造用パネル(1.5)」等の壁もある。】
   N=(A±α)×β-γ=(1.5) ×0.5-0.6=0.15<0.65
     ⇒ 長ホゾ込み栓orL字角金物要!

 となり、壁倍率が1.0(理論上は1.2)を越すと、何らかの接合改善が要求されることになります。

 以上、先月号の話を少し具体的に検討した訳ですが(1)〜(3)いずれの場合も大きな壁倍率には対応の困難が予想されます。
 しかし多くの場合内部の壁は非耐力壁である事が多く、例え耐力壁だとしても低倍率の場合が大半ですから矢張り外壁の接合ランクのアップが肝要でしょう。N値計算により接合部改善の要否を柱毎に確定することが先決ですが、いずれにしても「壁をいじらない」を前提とすれば柱頭外側からの効率的な対策を早急に確立する必要があります。
(上記本文中、木ずり・ボード・金物類の表示がありますが、金物や釘の仕様【種類・径・ピッチ等】及び下地の条件がありますので必ず告示1100号とN値対応の金物一覧を確認してください)