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第1回 2階部分の「上部構造評点」を上げる具体的な方法(1)

 皆さんが最も悩むケースは、「2階壁の造り替えなしで(つまり、壁をいじらずに)、接合ランクだけを上げる!」という、手品みたいな方法が一体あるのか? ということではないでしょうか。確かに簡単ではなさそうです。

 …が、「何もせずにお手上げ!」では物事は前進しない。ここは皆で知恵を出し合い、何とかしなければならない。そこで、順を追って問題点・疑問点・解決策を整理していく必要があります。

 まず最初にやるべきことは、
(1)「N値計算」により、各々の柱に要求される「接合仕様」で改善すべき箇所の特定を行うことが先決でしょう。

・2階の評点を満足させるために、全ての柱の接合ランクを上げる必要があるのか? 
・特定の柱だけの接合部を改善すれば足りるのか? 
・或いは限られた場所の壁をいじる必要があるのか? 

 これらは現況の診断結果から決定されるので、建物毎に異なります。
(今月は2階の接合部改良のみの実施を前提とした場合のケーススタディをしてみます。)

【注意!】
 2階建ての2階部分の「柱接合部による低減係数f」は、青本P.27の表3.4の中でIの表から求めますが、この時、基礎仕様ランクは常にTです。(II、IIIは平屋建ての場合に該当することがありますが、2階建ての2階部分の場合は当てはまりません。
 しつこいようですが、例え建物全体の基礎仕様ランクがIIでも、IIIでも2階部分では常にTの欄の係数を使用することになります。青本P.28の上から5〜6行目の「ただし書き」で再確認しておいてください。

(2)ちなみに2階建ての2階部分の接合ランクをIVからII又はTに改善すると2階の評点はどの位あがるのかを検証してみましょう。

壁強さ倍率
IVの低減係数f
 
IIの低減係数f
Tの低減係数f
2.5KN/m未満
0.7
1.0(IVの1.42倍)
1.0(IVの1.42倍)
2.5〜4.0未満
0.35
0.8(IVの2.28倍)
1.0(IVの2.85倍)
4.0〜6.0未満
0.25
0.65(IVの2.60倍)
1.0(IVの4.0倍)
6.0KN/m以上
0.20
0.50(IVの2.50倍)
1.0(IVの5.0倍)

 と、このように接合ランクのアップにはこれほどの効果が期待できるというわけです!
(外壁回りの耐力壁は4.0〜6.0KN/mが多いので、改善により2.6とか4.0倍の評価アップとなるのだ! これは確かに効果大! …である。)そして次に、各ケースにより種々の方法を駆使してこれを実現する。 つまり、(文章でまとめるのは困難ですが、)

(3)Q-1:2階外壁回りで壁をいじらない場合。(1〜2階同一面のケースで下階に柱が連続するとき)
 A-1:1階柱頭と2階柱脚を「帯金物」で外壁外側から緊結する。
  (胴差寸法を考慮して金物の長さを決める。)
 A-2:2階柱頭は小屋裏又は2階天井への「点検口」の設置により、
 「N値計算」で求められる接合仕様と同等以上の金物を設置 する。
  (外部には通常軒天があり、施工が難しいことが多い。切妻屋根の妻面なら外部からでも可能!)
  (狭いスペースでの作業のため、支障となる羽子板・火打などの存在も考えられる。)
  (新規金物の開発も急を要する。)

(4)Q-2:2階外壁回りで壁をいじらない場合。
  (1〜2階同一面のケースで下階に柱がないとき)
 A-1:2階柱脚と2階胴差を「かど金物(CP-T)」で外壁外側から緊結する。
 A-2:2階柱頭は上記(3)A-2に同じ。

(5)Q-3:2階外壁回りで壁をいじらない場合。
  (2階セットバックで1階下屋の屋根内に2階柱脚が隠れる場合。)
 A-1:2階柱脚は下屋の屋根裏から金物を設置。
  (作業性や金物選定では比較的自由度が高いと言える。)
 A-2:2階柱頭は上記(3)A-2に同じ。

 以上のように整理できると思います。ここで肝心なことは「2階柱頭」に対する接合金物がうまく見つかるか? です。
 なければ新たに開発して製作するしかない。製作の要点は告示1460号にある。つまり、2階建ての2階は最上階だから、1460号の表1に示される『軸組みの種類に対応する「鋼板・釘(ビス)・ボルト」の組合せ(詳細は表3に示されている)』で、鋼板の形状が異なってもこれらの金物と同等以上の認定を取得することが急務である。
 このような新規金物の開発には、日々現場でご活躍の皆さんからのアイディアを頂戴したいと思います。諦めずに皆で知恵を出し合えば必ず道は開けるものです。ご協力お願いします。

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