北条市は、県都・松山市の北隣に位置する人口約3万人の、瀬戸内海に面した小さな町です。松山市と今治市のほぼ中間にあり、JR松山駅からも松山空港からも30分ほどで行ける距離です。小さな港の目前には野生の鹿が住む鹿島があり、二見が浦そっくりの夫婦岩もあります。海はあくまで青く、すぐ背後にはなだらかな緑の山々がひかえ、気候温暖な美しい町です。
理想のリゾート地に我が家が
今回の診断依頼者様が北条に定住したのは、7年ほど前のことです。もともと松山市で生まれたのですが、小さいころ一家で神戸に移り、以来60年ほどは神戸で暮らされていました。
まだ若いころから、依頼者様は「海がきれいで釣りが楽しめ、ゴルフ場に近い」リゾート地にセカンドハウスを持ちたいという夢をお持ちでした。そこで目ぼしい土地を探し始めたのが、かれこれ30年ほど前のことです。
最初は自分が生まれた松山市あたりを考えたそうですが、さすがに県都だから意外に土地が高く、少し範囲を広げた結果、北条市に150坪ほどの物件が見つかりました。海岸から直線で約100mほどの位置です。
すぐ後ろの丘陵地には数か所のゴルフ場がありますし、目の前には絶好の釣り場もあります。まさに依頼者様の注文にピッタリの土地でした。
大震災を契機に移住を決意
土地だけは購入したものの、会社勤めをしていた依頼者様は仕事に追われる毎日で、なかなかセカンドハウスにまでは手が回りませんでした。北条市に家を建てることになった直接の原因は定年退職と、そして阪神淡路大震災でした。
誰しも定年が近づくとその後の生活設計をいろいろ考え始めるものですが、その矢先に遭遇したのが阪神淡路大震災です。新神戸駅に近い山の手のマンションに住んでいた依頼者様は、幸いケガ一つなくて済みましたが、近所の木造住宅は大部分が倒壊してしまいました。「もう神戸には住みたくない」と考えた依頼者様は、松山市に住む知人に依頼して工務店を紹介してもらい、北条市の土地に引退後に備えて家を建てることにしました。
基礎だけはしっかり作るよう注文
終生暮らす家に、との思いがあったから、Tさんは基本レイアウトは自分で描かれました。とはいうものの、地鎮祭のあとは全て棟梁まかせで、1年近くもかけて建てられた家だというのに、ほとんど現場を見ることはありませんでした。ただ大地震の記憶が鮮明なだけに、「基礎だけはしっかり作っておいてくれ」と注文をつけたそうです。
建物は平屋で、建坪は約36坪。庭の前の一段低い部分が家庭菜園になっていて、その手入れがかなりの重労働とのことです。
Tさんがこの家に移り住んで、そろそろ7年になります。大手ゼネコンに一級建築士として勤められている息子さんは転勤が多く、娘さんも嫁いで、いまは奥様との二人暮らしをされています。