木耐協/日本木造住宅耐震補強事業者協同組合 電話での耐震診断申込は0120-224-293


社員の生命を守るのが企業経営者の責任です(1/2)

横浜市戸塚区

 今月の現場ルポは、ある企業の工場社屋です。この会社はエレクトロニクス関係の大手企業に極細の特殊電線などを製造・納入している会社で、従業員は10名ほどの企業ですが、その高い技術力は納入先からも高く評価されているということです。

中古住宅を工場に改造

 この会社は、JR戸塚駅から南西方向へ徒歩十数分の位置にあります。かつてワンマン道路と呼ばれた高速道路、横浜新道の下を潜り抜けてすぐのあたりで、丘陵地の谷間です。周囲の丘陵地はすべて宅地として開発されていますが、起伏が多い地形なので狭い道路が複雑に入り組み、地元のタクシーでさえ道に迷ってしまうことがあるそうです。

 同社が現在地に本社工場を構えたのは、十数年前のことです。代表者の方の自宅が近くにある関係で、木造2階建ての住居だった建物を中古物件として購入、工場に改造したものです。もとの家は昭和47年の建築ですから、35年ほど経過していることになります。

 現況はやや変形の総2階ですが、南寄りの部分は購入後に増築したようです。1階部分は事務室と工場、正面の外階段で上る2階は事務室や休憩室に使用されています。

以前から耐震性に不安があった

 かねてから社長は、この建物が大地震に耐えられそうにないと考えていたようです。社長らの話によれば、この一帯は水田などの低湿地を宅地造成した場所で、あまり地盤はよくないそうです。また敷地は北西向きの角地ですが、北側と東側にむけて傾斜しており、ブロックで囲って土盛りされています。いずれにしても、不安な立地条件には違いありません。
 一時は真剣に移転も考えたそうですが、なにしろ製品の納入先が大手企業ですから、操業を中断することができません。新工場を建て、そこに必要な生産設備を設置するとなると、二重の設備投資が必要になるため、負担も大きくなってしまいます。

 とはいえ、危険と思われる建物を放置してはおけません。10名の社員の生命を守るのは経営者として当然の義務だと社長はいいます。それだけでなく、もし倒壊でもすれば生産設備にも壊滅的な打撃を蒙ってしまうでしょう。

操業を中止しないで補強したい

 そこで社長は、操業を続けながら建物を補強できないかと考えて、ひとまず木耐協の耐震診断を受けてみることにしました。

 今回の診断を担当したのは、港北区に本社をおく日生住宅株式会社です。現地調査に訪れた診断者は、この建物には従来木耐協で行っている耐震診断が適用できないことに気づきました。生産工場として使うため、作業場のスペースは床も土台も撤去してコンクリートの土間にしてあり、そこにかなり重量がある機械類が設置されています。
 従来の耐震診断ができなくても、耐震補強が行えないわけではありません。社長の話を聞いて、何とか補強をしなければという強い意志はよく理解できましたし、操業を中断できない事情もわかります。

 現地調査の結果、地盤の悪さを証明するように布基礎には真性クラックが多数発生しており、昭和56年の基準法改正以前の建物ですから構造材への締結金物の使われ方も少ない状態でした。さらに既存壁の強度にも疑問があります。この建物がかなり危険な状態にあることは間違いないと判断されました。


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