胎内市は、新潟市からJR特急で北へ約30分、新発田市と村上市のほぼ中間に位置しています。櫛形山脈から流れ出す胎内川が作った扇状地に開けた町で日本海に面しており、飯豊連峰の雪解け水が伏流水となって町内の各所に噴出しているため、海岸から2キロほどの場所に高山植物のミズバショウ(天然記念物)が群生しています。水どころ、米どころとして知られる胎内市は、チューリップの球根生産日本一としても知られています。
増築のあと家が傾きはじめた
診断依頼者邸は中条駅のすぐ裏側、直線で200mほどの位置にあります。とはいえ周辺は一面が水田地帯で、A邸の裏側にも広々とした田んぼが広がっています。おそらく、以前は沼地か水田だったところを埋め立てて造成した住宅地なのでしょう。
診断依頼者の方がこの場所に家を建てたのは昭和53年ですが、その7年後には2階に2部屋を増築している。
最初の家は2階2部屋が後ろ側(西側)に偏っていたため、南側の窓を大きく取ることができませんでした。そこで南側に建て増しすることにしたのですが、雪国のことですから、建て増し部分の柱も4寸角以上のものを使ってもらったそうです。
数年前にも、傷みが目立ち始めた水回りの改装を行いましたが、この前後から依頼者の方は特に西側部分の沈下が気になっていたとのことでした。西南隅の沈下が特に激しく、最大数センチも床が沈んでいたということです。当然この部分の柱が傾くから反対側はこれに引っ張られる形になり、家全体に歪みが生じます。奥様のお話では、柱と建具との間に隙間ができたり、扉や窓の開け閉めに苦労するほどだったということでした。
依頼者の方が家の耐震性について考えるようになったのも、やはりこの頃からでした。何かいい方法はないかと近所の大工さんにも相談してみたそうですが、満足できるような回答は得られませんでした。
とりあえず基礎は補修したが……
そこで数年前の水回りの改装と前後して、西側部分に基礎を積み増ししてもらいました。一応基礎と土台の水平はこれで回復したのですが、家全体の傾きを修正することまではできなかったようです。
もともと水田を埋め立てた土地ですから、家が傾いたのは土留め工事に問題があったのかも知れませんし、地盤が十分に締まっていなかったということも考えられます。しかしそれ以上に問題だったのが、どうやら2階の増築だったようです。
重い2階を支えきれなかった?
今回、依頼者邸の耐震診断を担当したのは、新潟市に本社を置く有限会社ユウワの耐震技術認定者でした。
最初の診断は平成15年10月に行われたのですが、そのときの診断結果は非常に悪いものでした。築年数からいっても少し低すぎる評価ですが、診断担当者によれば当然の結果ということでした。
まず何らかの理由で家が傾いた結果、内側の基礎に破断が生じていたうえに、4隅の柱の傾き方向がそれぞれバラバラでした。西側の沈下による引っ張りと圧縮が複雑に作用したためと思われますが、それを加速したのが2階と屋根の過大な重量だったということです。