壁量の不足が判定を下げた
今回の耐震診断を担当したのは、中川区の木耐協組合員、株式会社 匠一級建築士事務所の阪本尚彦さんです。
さっそく診断を行ったところ、さほど古い家でもないのに判定数値は低く出てしまいました。阪本さんによれば、依頼者様邸は一見バランスのいい家に見えるのですが、東西方向の壁量が足りないことがポイントを下げた一番の理由だということです。さらに、コンクリート布基礎にかなり大きなクラック(ヒビ割れ)が東面、西面、南面に入っていたことも判定に影響しました。特に西側の基礎は、裏側にまで割れが達していたそうです。
このクラックがいつ、どのようにして発生したかはわかりませんが、依頼者様の話ではこの家を建てて間もなく、庭に重機を入れるため西側の擁壁部分の土工事を行ったことがあるそうでした。もともと地盤はいいところですし、現況では安定しているようですので、しっかり基礎の補修をしておけば問題はないと判断されました。
弱点をちょっと改善しただけで
A邸は親しい大工さんがていねいに仕上げた家だから、全体としてみればかなり程度がいい建物です。壁には筋交いがしっかり入っていますし、火打ちなど締結補強金物も過不足なく使われていました。したがって診断で指摘された弱点を少し改善するだけで、ほぼ安全な家にすることができるはずです。
そこで阪本さんが提案した改善プランは、まず基礎をエポキシ樹脂注入により徹底的に補修し、とくに大きく破断していた西側には、さらに基礎補強鋼材でサポートすることにしました。また壁量の不足を補うために、北西隅の押入れの壁強度を高めることにしました。家全体のバランスを検討した結果、この1か所の壁補強で所期の目的は達せられると判断されたためです。主な補強ポイントはこの2点だけですが、依頼者様邸の診断数値は「一応安全」というレベルまで改善されています。また直下型地震に備えて、壁補強か所以外の出隅など6か所に外付け型のホールダウン金物が取り付けられています。
施主様からは「今回の耐震補強を一番喜んでいるのは、私より家内でしょう。地震が来るたびにビクビクしていましたから。いまでは私も会社は息子に任せて家にいることが多いので、やはり安全にしておきたいという思いはありました。 まだ工事が終わったばかりなので、とくに気づいたこともありませんが、これで大地震がきても助かるだろうという安心感があります」とのお言葉をいただきました。
(耐震診断及び補強工事施工=株式会社 匠一級建築士事務所名古屋支店 電話052-419-0909)