木耐協/日本木造住宅耐震補強事業者協同組合 電話での耐震診断申込は0120-224-293


築90年の古民家が大改造で安全・快適な住まいに変身(1/2)
山梨県南部町

 南部町は山梨県の南西端に位置する人口10,700人ほどの町です。東の富士山塊、西の南アルプス連山に挟まれた山峡をほぼ真南に流れる富士川沿いに開けた地域で、南部町のすぐ上流側には日蓮宗の総本山である身延山久遠寺があります。駿河湾まで直線で30km足らずの位置なので、山梨県とはいうものの、暮らしは完全に静岡の経済圏に属しているようです。

田舎暮しがしたくて買った家

 診断依頼者のお宅は富士川の支流である福士川の上流が山ひだに食い込む中腹にある、わずか数戸の集落のうちの1軒です。
 じつをいえば診断依頼者さんはこの土地の住人ではなく、現在の住まいは神奈川県川崎市にあります。この家は15年ほど前、「田舎暮らし」を勧める雑誌で見かけた古民家が気に入って、購入したものだといいます。川崎の住まいが東名高速の川崎インターに近いので、うまく行けば2時間そこそこで到着できるという立地条件も、セカンドハウスとしては申し分がありません。
 診断依頼者さん自身もさることながら、夫人もこの山の家で過ごす日々が何より楽しいといいます。娘さんやお孫さんたちもこの家がお気に入りで、ご夫妻の都合が悪いときでも自分たちだけで遊びに来るそうです。

まるで家中がウグイス張りのようだった

 とはいえ、大正時代の初めに建てられたという家なので、やはり具合の悪いところがいろいろありました。まず夫人が一番困ったのはお風呂が使えないこと。また汲み取りの便所は、お孫さんたちから嫌われました。
 さらに床を支える根太や大引などの木材が傷んでいるから歩くだけで床板がきしみ、家中が「ウグイス張り」のようだったと診断依頼者さんは笑います。灯油ストーブを使用しているときなど、幼いお孫さんが近くを走りぬけただけで消火装置が作動するほどでした。それだけ床が大きく振動したのです。柱や梁に歪みが出ているので、襖や障子などの建具も開け閉めが満足にできないありさまでした。

家族みんなが大好きな家だから

 家族にとってこの家がお気に入りの場所になるにつれて、やはり何とかしなければという思いが診断依頼者さんの中でしだいに強くなりました。さらにもう一つの心配は、この場所が富士川の流域に位置しており、駿河湾からもあまり離れていないことでした。東海地震の特別警戒地域には山梨県のほぼ全域が指定されていますが、とくに静岡県に近いこの一帯は激震に襲われる可能性があります。
 したがってもし改装するのであれば、併せて地震に強い家にもしておきたいと考えたのです。
 診断依頼者さんは昨年2月ころ南部町役場に相談に出かけたのですが、そのとき窓口の担当者が見せてくれたのが、木耐協の告知チラシでした。
 さっそく事務局に電話連絡を取り、派遣されてきたのが南部町に本社を置く木耐協組合員、ハウスコンサルティング有限会社の高橋茂広さんでした。
 高橋さんが現地調査したところ、約90年も前に建てられたというこの家は当然ながら伝統工法によるもので、玉石などの上に柱を乗せる礎石構造でした。これでは現在行われている耐震診断を適用することができません。

とくに床下部分の傷みがひどかった

 耐震診断が適用できないからといって、伝統工法の家の耐震補強が行えないわけではありません。そこで高橋さんが調査してみると、とくに床下部分の老朽化がひどく、根太、大引、土台、束柱などは腐蝕が進み、シロアリにも食害されていました。大黒柱の底部までもが、グズグズに腐蝕していたといいます。
 家のすぐ背後まで裏山が迫っているという立地条件から、床下に湿気がこもりやすい環境だったようです。
 さらに伝統工法に共通する特徴は、壁が少ないことです。平面図を見れば一目瞭然ですが、大きな部屋が4室田の字型に設けられ、間仕切りは全て襖などの建具です。
 いまの建築常識では考えられない構造ですが、こうした伝統工法の家では柱や梁など構造材のサイズが一回りも二回りも違います。太くて頑丈な骨組みが、壁の少ない間取りを可能にしていたのです。



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