1階部分の南面にほとんど壁がない
診断依頼者邸の診断数値は非常に小さく出てしまいました。外見上はしっかりした家のようでしたが、このように低い数値が出た最大の理由は、建物の南側にほとんど壁がなかったためです。依頼者邸の南面には西端の戸袋部分に3尺の壁が1か所、さほど強くない壁しかありませんでした。
また現地調査でわかったことですが、浴室部分の土台が完全に腐食してグズグズの状態になっていたことも影響しています。この位置は2階の壁の直下に当たるから、ここが崩壊したら大変なことになります。また無筋の布基礎に2か所クラックが発生していたことも、判定数値を下げた原因でした。
耐震補強は意外に安くできる?
この判定結果を見て、依頼者の方は迷ってしまいました。もともと依頼者様は耐震補強など考えていなかったわけですし、どういう工事をするのか見当も付きません。もし莫大な費用がかかるようなら、たとえ危険だといわれようと見合わせるしかありません。
しかし診断者が示した改善プランを見て、依頼者の方は安心されました。工事費用が心配したほどではなかったからです。もちろん、即座に補強工事を依頼しました。
本宅の弱点は、耐震診断によって明確にわかっています。最大の問題は壁量の不足なのですから、これを補ってやれば目的は概ね達成されることになります。そこで診断者が提案したのは、ほとんどガラス張りだった洋間の東南隅に3尺幅の壁を新設すること、西側の床の間の壁(戸袋の裏)と、土台が腐っていた浴室の間仕切壁とを強い壁に作り変えることでした。
壁3か所の補強で理想のバランスに
浴室部分の腐食していた土台はもちろん入れ替え、壁両端の柱が強度不足だったので添え柱を新設したのち、耐震ボードなどによる補強を行うことにしました。この3か所に強い壁ができたことで、ほぼ理想的な壁配置バランスになりました。
またクラックが発生していた基礎2か所は、樹脂注入により補修を行うなど一連の補強工事によって、K邸はの診断数値は大幅に改善されました。さらに直下型地震に備え、外付け型のホールダウン金物が3か所に取り付けられたほか、土台が腐食していたトイレと浴室前の床下には、床下調湿炭を敷き詰めました。換気が悪くて湿気がこもっており、これが土台を腐らせた原因だと思われたからです。
工事を終えて診断依頼者様は「この程度の費用負担で家が安全になったのがうれしい」とのことでした。やはり長い間つきあってきた工務店ならでは、ということでしょう。
(耐震診断及び補強工事施工=有限会社 サンコー建築店 電話048-624-6066)