今月の現場ルポは、静岡県藤枝市のお宅をお訪ねしました。この方の補強工事は、さきに開かれた日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)の2003年全国大会における「耐震リフォームデザイン&アイディアコンテスト」第1位入賞作です。
周囲はのどかな田園風景
今回のお宅は、JR東海道線の藤沢駅から南へ直線で3kmほどの場所に位置しています。新幹線の高架がすぐ近くを通っており、周りにはのどかな田園風景が広がります。大井川流域の肥沃な水田地帯も、相当宅地化されました。
藤枝市には海はありませんが、診断者邸から大井川の河口までは約10kmということで、地形的には海の影響も受けています。
1990年頃、もともと農家の屋敷だった場所を宅地化して、数戸の建売分譲が行われました。今回のお宅はそのうちの1戸です。建売とはいうものの、ある程度は注文をつけることができたため、セミオーダーの分譲住宅といったところでしょうか。敷地はやや変形ながら約74坪あり、建物は延べ34坪の木造2階建てです。
ご家族はご夫婦と2人のお子様です。お子様のうちお一方は東京に暮らしており、この家には3人で暮らしていらっしゃいます。
当初はさほど地震を意識していなかった
診断依頼者の方は秋田県出身ですが、勤務先の関係で静岡にやってこられました。メーカーである会社は静岡県内に多くの工場を持っており、そんな関係ですっかり静岡に落ち着いてしまったということです。
そんな依頼者でしたが、今の家について特に不安を持っていたわけではないそうです。もちろん最近は地元の新聞やテレビが連日のように東海地震への警戒を呼びかけるキャンペーンを行っていますし、木耐協の耐震診断を告知するチラシも何回か目にしています。しかしまだ家が新しいこともあって、さほど地震を意識していなかったようでした。
やはり吹き抜けが最大の弱点だった
そうしたわけで、今回耐震診断を受けてみたのも「物のついで」くらいの軽い気持ちからだったそうでした。最初、依頼者が考えていたのは、1階和室の床の間を改装して仏壇を入れたいということだけでした。しかしその打ち合わせの段階で、かねてから気になっていた吹き抜け部が大丈夫なのかどうか、専門家の点検をうけておくことにしたということです。
診断担当者がやはり気になったのも、玄関、ホールから階段にかけての部分が吹き抜けの構造になっていたことでした。天井がない明るい空間は、たしかに圧迫感がなく快適ではあるが、木造住宅ではいささか問題があることが多いのです。
実際に診断した結果、やはり懸念した通り、評点が低く出てしまいました。地盤がやや軟弱であるうえにコンクリート基礎にクラックが発生していたこと、リビング部分の空間がやや大きくて壁が少ないなどという要因もありますが、最大の原因はやはり吹き抜け部分にありました。