木耐協/日本木造住宅耐震補強事業者協同組合 電話での耐震診断申込は0120-224-293


優れたデザイン性を持ちながら建物の揺れをピタリと止める
東京都大田区

 大田区には、山の手と下町の二つの顔があるといわれています。東京都の最南端に位置する大田区の東には東京湾が広がり、南は多摩川を隔てて神奈川県川崎市に隣接します。東京湾岸には羽田国際空港をはじめとする重要施設や臨海工業地帯があって周辺には中小零細企業が密集しており、一方多摩川上流の丘陵地には田園調布など東京では最高級とされる住宅地が構えています。西に伸びる主な国道や鉄道は全て大田区を経由しており、いわば東京の表玄関にあたる場所といえます。

青果の流通を支える会社

 この会社は、果物や野菜類の計量包装機とコンベアなど関連システムを取り扱う会社で、N社長が2004年頃に創業されました。もともとはお父様が興した会社の業務の一部を分離独立させたもので、そちらの会社が輸入した包装機本体をラインに組み込んで販売するのがこの会社という役割分担になっています。
 もしかしたら、私たちがデパートやスーパーで購入しているピーマン、タマネギ、リンゴなどの袋詰めは、ひょっとするとこの会社の機械で包装されたものかもしれません。
 十数年前までお父様の会社は文京区本郷にあったということですが、1989年に秋葉原駅近くにあった神田青果市場が閉鎖され、大森の大田青果市場に移転したのに伴い、大田区に引っ越されました。仕事の関係で、やはり青果市場の近くのほうがいいからということでした。一時は賃貸の工場を使用していましたが、10年ほど前に現在の物件を購入されました。
 現在の建物は、建築後40年以上経過した2階建ての木造住宅で、1階、2階とも約82平方メートルという大きさです。もともと住宅用に建てられた家とのことですが、南側が道路に面しているため、美容院や商社が店舗として使ったこともあったようで、改装して社屋として利用されています。

よく揺れるのが気になっていた

 現在は1階を店舗兼倉庫、2階を事務室その他に改造して使っているのですが、最初からN社長が気になったのは、この建物がよく揺れることでした。表通りは地域の主要道路なので大型車両も頻繁に往復するが、そのたびに2階が大きく揺れます。少し急ぎ足で歩いただけでも、建物が揺れるほどだったそうです。当然、大地震が来たら耐えられないだろうという不安が以前から社長にはありました。
 社屋としても手狭ですし、いずれビルに建て替えたいという希望はありますが、それもしばらく先のことです。もしそれまでに大地震が来て、たまたま何人かの社員がいる時間帯だったら、最悪の事態に見舞われるかもしれません。
 そこでN社長は、耐震診断をしてくれるところをインターネットで調べ、そして行き着いたのが木耐協でした。

揺れやすい原因は壁の量と強度不足

 木耐協から派遣されてきたのは、世田谷区に本社を置く(株)K&K建築工芸代表取締役で一級建築士の木村和政さんです。
 さっそく現地調査した木村さんには、この家がよく揺れる原因が一目でわかりました。この家には1階南側に壁がありません。しかも以前の持ち主が1階を駐車場に使っていたらしく、出入りのために南側の基礎が全部撤去されてしまっていました。
 また西側には壁は多いものの、壁耐力はきわめて低いものでした。建物内部にもほとんど壁がないため、まるでマッチ箱の上に2階を乗せたような状態でした。耐震診断の結果も、当然ながら非常に低い数値でした。壁の量が少ないうえに、既存壁の強度も小さいとあっては、診断結果の数値が低くなってしまうのもやむを得ません。
 この弱点を改善するには、壁不足を解消するのが最善の補強法です。木村さんは道路に面した南側にも強い壁を作る必要があると提案ましたが、事務所の前面を壁にすることには、N社長が難色を示されました。見た目の問題もありますし、東西がほとんど壁になっているため、南にまで壁を設けると穴蔵のように暗い店舗になってしまうからです。

壁の代わりになる筋交い構造物を…

 そこで木村さんが提案したのは、壁の代わりに露出筋交いを格子状に組んだ構造物を新設することでした。もちろん筋交いの底部には基礎を新設し、上部は梁に緊結することによって2階の重量を支えます。格子状の三角窓には明かり取りのため厚板ガラスを嵌め殺しにし、安全のために内側から厚手の防犯フィルムを貼り付けてあります。
 また、筋交い設置のため既存の前面ウインドを撤去したところ、腰壁の土台が腐ってボロボロになっていました。
 ということは、1階南面には2階の重量を支える構造物が全く存在していなかったことになります。もし震度6強程度の強い地震が来ていたら、この建物は道路側につんのめるように崩壊していたかもしれません。
 南面にはこの露出筋交いを4か所設け、また建物中央と北側の既存壁を2か所づつ補強したことにより、壁量の不足はほぼ解決されました。また2階床面の水平剛性を高めるため、火打ち金物による補強も行われています。
 これら一連の補強によって、この物件の診断数値は「ほぼ安全」とされる数値まで大幅に改善されています。

振動のプロも納得した耐震補強法

 補強工事が終わってN社長がまず気づいたことが、建物がほとんど揺れなくなったことでした。元々が機械屋さんということもあり、構造物の振動や共振については専門家です。そのNさんを「なるほど」と納得させるほど、今回の耐震補強工事は理に叶ったものでした。もともと家とは揺れてはいけないものなのです。
 完成した外観はデザイン的にも優れており、この点でもN社長は満足していらっしゃいました。木村さんはじめ工事スタッフの仕事ぶりも申し分がなく、すっかり気に入ったN社長は母親が住む茨城県の家の診断と補強も依頼することにしたとのことでした。
(耐震診断及び補強工事施工=株式会社K&K建築工芸 東京都世田谷区桜丘3-28-12 電話03-5451-3147)

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