家の形と土台回りに問題が
Fさんの耐震診断申し込みにより、木耐協から派遣されてきたのは枚方市に本社を置くプラスワンクラブ(株式会社エフ・シキシマ)の橋本健太郎さんです。
さっそく橋本さんが行った現地調査によって、この家にはいくつかの問題点があることが判明しました。F氏邸は間口が狭く、奥行きが深くなっています。分譲住宅にはよくあるパターンですが、こういう形の家では動線を確保するために横方向の壁が作りにくいため、必然的にこの方向の壁量が少なくなってしまいます。
縦方向は比較的壁の量が多いが、どうしても配置バランスは悪くなってしまいます。また2階の構造を支える耐力壁直下率も低くなっていました。
もともと地盤はあまり良くない場所ですが、とくに沈下などは認められず、家本体の傾きなども発生していませんでした。しかし無筋の布基礎には何か所もひび割れが発生しており、それ以上に深刻だったのが、土台まわりの腐蝕でした。床下の湿度がやや高めだったことが、木材の腐蝕を早めたのかも知れません。
シロアリ食害の痕跡もあり、この家の足元はかなり不安定な状態になっていました。おそらくこれらの原因が、家を揺れやすくしていたのでしょう。
重点は足元の強化と壁不足対策
耐震診断の結果を聞く前に、Fさんは橋本さんに「やはり建て替える必要があるんでしょうか」と質問しています。
判定数値はかなり低いものでしたが、適切な補強を行えばまだ十分に住める家だと説明され、Fさんは即座に補強工事を依頼されました。
橋本さんが提案した補強プランは、最大の弱点である足元の強化と、壁量の不足を補うことに重点が置かれています。
まず足元の強化については、ひび割れた基礎を補修するとともに4か所に基礎補強鋼板を取り付けて強度不足を補っています。また土台や柱の腐蝕した部分は撤去して根継ぎや添え柱で補強、さらに基礎との隙間にはモルタルを充填しました。
さらにホゾ抜け防止のためのホールダウン金物を6か所に取り付け、1階床の水平剛性を高めるために、各隅部を火打ち金物で補強しました。
また横方向の壁不足対策は、建物東寄りの既存壁3か所を補強することにしました。居住性を損なうことはできないから、壁の新設はできません。補強工事は昨年7月下旬から8月上旬にかけて行われましたが、これら一連の補強によってF氏邸の診断数値は「ほぼ安全」なレベルまで大幅に改善されています。
たしかに家が強くなっていると実感
補強工事が終わったあと、Fさんがまず気づいたのは家が揺れなくなったことで、確実に家が強くなっていることを実感したそうです。最終的にF氏邸の工事は、3期に分けて行われました。1期が耐震補強、2期が外壁モルタルの修復と塗装、3期が1階部分のバリアフリー化です。
一通りの補強改修工事が終わってFさんは「外観もすっかりきれいになり、バリアフリー化で両親も動きやすくなったと喜んでいます。費用も建て替えに比べて5分の1以下で済んだはずです」と感謝していました。
耐震診断及び補強工事施工=プラスワンクラブ(株式会社エフ・シキシマ)
電話072-849-2001