平成18年4月1日から平成18年6月30日まで(3ヶ月)に、木耐協で実施した耐震診断1,146件の耐震診断結果を分析したものです。

耐震診断対象家屋】
全国/昭和25年以降、平成12年5月までに着工された、木造在来工法2階建て以下の建物
      
【耐震診断基準】
国土交通省住宅局監修「木造住宅の耐震診断と補強方法」の一般診断法を用いて
耐震診断を実施(4分割法による充足率を採用)

参考:
建築基準法では、耐震計算する際に想定する地震を大地震と中地震の2段階に分けています。大地震とは、建物が建っている間に遭遇するかどうかという極めてまれな地震(数百年に一度起こる震度6強クラスの地震)です。中地震とは、建物が建っている間に何度か遭遇する可能性のある地震(震度5強程度)のことです。中地震の場合には建物という財産を守り、大地震時には人命を守ることを目標とするのが、建築基準法の考え方です。
これに対し、耐震診断では人命保護に重点を置き、「大地震時に倒壊しない」ための耐震性確保を目標にすえることを明示しました。大地震と中地震という2段階を設定する建築基準法と異なり、耐震診断では大地震への対応という1段階で考えることになります。

■ 耐震診断結果(総合評点)


新診断(一般診断)
全体
昭和56年5月以前
昭和56年6月以降
1.5以上 倒壊しない
35
3.04%
0
0.00%
35
6.17%
1.0以上1.5未満 一応倒壊しない
154
13.44%
24
4.15%
130
22.93%
0.7以上1.0未満 倒壊する可能性がある
264
23.04%
105
18.13%
159
28.04%
0.7未満 倒壊する可能性が高い
693
60.47%
450
77.72%
243
42.86%
総数
1,146
579
567
平均築年数
24.87年
33.51年
16.04年

● 旧耐震診断手法で平成14年7月1日〜平成17年6月30日の期間に実施した
耐震診断52,746件の耐震診断結果(平成17年8月発表済)
旧診断(精密診断)
全体
昭和56年5月以前
昭和56年6月以降
1.5以上 安全です
3,212
6.09%
478
1.69%
2,675
10.94%
1.0以上1.5未満 一応安全です
9,510
18.03%
2,787
9.85%
6,614
27.05%
0.7以上1.0未満 やや危険です
12,063
22.87%
5,725
20.24%
6,303
25.77%
0.7未満 倒壊または大破壊の危険あり
27,961
53.01%
19,301
68.22%
8,863
36.24%
総数
52.746
28,291
24,455
平均築年数
24.46年
33.94年
13.43年

■80%以上の住宅の耐震性に不安あり(旧診断を4.6ポイント上回る)
左記結果のとおり、耐震診断を受診した住宅の60%が総合評点0.7を下回り、耐震性に不安のある総合評点1.0未満の住宅は83.5%にも上ることがわかりました。昭和60年に発表された従来の精密耐震診断手法では78.9%の住宅が総合評点1.0未満であった(前ページ参照)ので、新診断手法で耐震診断を実施することで、耐震性に問題のある住宅が4.6ポイント増加していることになります。従来の耐震診断が「壁量」「壁の配置バランス」を中心に評価されているのに対して、新診断は「壁量」「壁の配置バランス」に加え、「接合部」「床仕様」などの評価項目が増えたことにより、診断の結果に差が出ているものと思われます。
また、後述いたしますが、旧診断の診断対象が1階部分だけだったのに対して、新診断は2階も評価項目となっており、さらに総合評点を低下させる要因となっていると思われます。



■昭和56年5月以前の住宅に限定すると95.85%が1.0を下回る
多くの自治体が無料の耐震診断や耐震補強に対する補助金の対象としている昭和56年5月以前の住宅に対象を絞ると、実に95%を上回る住宅が耐震性に不安があることがわかりました。旧耐震診断手法では88.46%であったので、7.39ポイントも上回ることになります。
また、耐震補強の緊急性の高い0.7点を下回る住宅についても77.72%も存在し、全体の約3/4を占めます。


■昭和56年6月以降の住宅でも7割を超える住宅に耐震性の不安有り
一般的には耐震性が確保されているという昭和56年6月以降の住宅でも、総合評点が1.0を下回る住宅は70.9%もあり、旧耐震診断手法の62.01%を8.89%も上回っています。また、耐震補強の緊急性の高い0.7点を下回る住宅についても42.86%も存在することがわかりました。
昭和56年6月以降の住宅は壁の量は基準どおり満たしているものの、「壁の配置」「接合部」「床仕様」等は平成12年6月までの間は法律で具体的な定めが無かったため、総合評点を落とす結果となっています。



■耐震診断受診のニーズは、約半数が昭和56年6月以降の住宅
多くの自治体が耐震診断や補強に対して補助や助成制度を始めていますが、そのほとんどが昭和56年5月以前の建物だけに対象を絞っています。これは壁量の規定が旧基準であるからという理由なのですが、耐震診断を受診したいというニーズは昭和56年6月以降の住宅にも多くあります。左記のとおり、診断の実施総数は、昭和56年6月以前と以降とでほぼ同数となっています。データからもわかるとおり、昭和56年6月以降の住宅でも耐震性に不安のある住宅は多く、中には、耐震性が不足しているにもかかわらず、その事実が知らされずに流通している住宅も多く存在します。昭和56年5月以前の住宅の優先順位が高いことには変わりはないのですが、住宅の供給戸数と耐震診断の受診数を比較すると、築年数の浅い住宅の耐震診断の受診ニーズは非常に高くなっています。自治体の助成・補助制度が昭和56年6月以降の住宅にも広がっていくことを期待したいものです。





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